グリンデルワルト

YOUTUBEを観ているとよく取り上げられていますね。
その殆どが標記のカタカナの表音です。この辺り、ベルナーオーバーラントと呼ばれ、スイスの首都ベルンのある地方である事からこう呼ばれているのです。語尾のdがtの発音である事からドイツ語圏である事が解ります。
英語読みなら・・・ランドになります。
であるにも拘らずグリンデルワルトとはこれ如何に?
ドイツ語読みなら・・・バルト、英語読みなら・・・ワルドでなければなりません。ドイツ語の発音なら、waldのwは濁音で英語のvの発音に、dは前述のようにtの発音になるからです。
因みにwaldは森の事で、地名のシュバルツバルト(黒い森)が有名ですね。
どっちつかずの・・・ワルト、一体何故なんですかね?
このカタカナ表記、私もずっと昔からそれが本当だと思っていました。
20代の頃に読んだ槇有恒の著述「山行」の中で記されていたカタカナ表記、これがグリンデルワルトだったのですね。
はい、アイガー東山稜初登攀の時の事を記したものです。今では東山稜とは言わずミッテルレギ稜と呼ぶのが一般的ですね。氏はグリンデルワルト滞在中にドイツ語を学び、山岳ガイドという地位の低い若者達とも何の偏見もなく親交を深めあの快挙を成し遂げています。
では何故バルトでなくワルト?
推測でしかありませんがドイツ語圏の人達って、言葉にあまり固執しないんですね。それで相手が話している言葉に合わせてくれます。その結果独英チャンポンの発音になってしまったのではないかと。
実際私も仕事でドレスデンへ行った時、現地の担当者と話していて、私がワインと言うと相手もワインと発音してくれました。ツウィンガーと言うと同じようにツウィンガー。本来ならワインはバイン、ツウィンガーはツビンガーなのですが。
それとももしかしたら・・・、
槇有恒は現地では我々日本人が思っている以上に有名人です。誰とも別け隔てなく接し、時には日本の皇族まで連れてくる。そしてミッテルレギ小屋まで寄贈して登山業発展の為に尽くしてくれた。
その大恩人がグリンデルワルトと呼ぶなら我々もそう呼ぼう。なんちゃってね。
妄想は次から次へ、尽きる事はありません。