思い出し笑い

雪の朝
血の滴りし
犬の便

高校一年の現国の時間。
俳句を作るという宿題の発表での事。
順番に皆が発表している中で出た一句。
聞くと同時に皆一瞬何の事?とポカンとした後、一斉に大爆笑。

作者が朝、愛犬が亡くなっているのを発見。その傍らに血便があった事からその悲しみを句にしたそうです。
私も笑ってはいたものの、「こいつは優しい子なんだな。」とかなり強烈に思った事を思い出しました。
はい、先日のクラスメイトだった大治村の村長さんのお嬢さんを思い出したのと同時に、同じ高校時代からこの句も思い出してつい思い出し笑い。
これを詠んだ彼の名前が〇〇謁夫だったと思います。謁見の謁、拝謁の謁です。名前からして高貴な生まれである事を連想させます。
尤も彼との接点は全くなく、席も離れていた事から話をした事もありません。当時から私は積極的に人と交わる性格ではなく話して来たら応える程度でしたから。
個人的に育ちの良いお坊ちゃまより一見ワルに見える連中との方が馬が合っていた事もありますが。
ワルの中に通称【バラ】がいました。まあバラなんて呼び方から榊原であることがすぐ解ってしまいそうですね。サッカー部所属、家が裕福な事もあり親分肌でした。今風に言うとマウントを取るというのでしょうか、そう言う面もありましたが本人に悪意は全くなくやられた方も軽く受け流しているといった感じでした。
二年になりクラスが変わってもバラや水泳部のワル達とは相変わらずじゃれ合っていました。
まるで同類のように付き合っていましたが、よくよく考えると周りの連中はみな割と裕福な家庭に育っており、私のようなどこの馬の骨ともしれぬ育ちの悪い人種とは違っていました。今になってみると、当時の友人たちの育ちの良さがよく解ります。こんな私なんかと分け隔てなくよく付き合ってくれたものだと。
「イッセイ(私の事)なんて嫌いだ。俺達と一緒になってバカな事やってるくせに良い成績取りやがって。」バラにこんな事を言われた事がありますが本気で嫌っている訳でも無し。こんな自分を受け入れてくれるバラ達に感謝の念を抱く事はあってもバカにするなんて事は全くありませんでした。
そうそう、実力テストの上位30名の名前が張り出されるのですが、採点違いがあった為私の名前に自分でマジックインキで縦線を入れた事があります。
その時も早速バラがいじって来ました。「イッセイ、名前消されてやんの。」まあこうなることは解っていましたので笑って誤魔化しておきましたが。

小中学時代は駅西(名古屋駅の西側で当時は治安が最悪の場所でした。)と言う事もあり、まして黄金中学というのは名古屋でも最悪の荒れた学校でしたから、周りはヤクザのお子ちゃまも居ますし売春宿のお子ちゃまも居る訳です。中一の時はクラスメイトの女の子の兄に校舎裏に呼び出されて殴られた事もあります。
そんな環境から一転、周りは平和主義者ばかり、喧嘩の代わりに論理を戦わせるような人達ばかりだったので本当に幸せな高校生活でした。
まあ人間って危機に直面していないと段々とおバカになって行きますからその結果が今の私に繋がってしまった訳です。
でも育ちの悪いこの私でもなんとかやってこれました。自分の子供達は後ろ指差されないようにと努めてきましたが思惑通り行ったのでしょうか。気になるところです。