白馬でまた土砂崩落

もう40年近くなるだろうか。山を始めて間もない頃大雪渓を登った事がある。広い雪渓、どこでも通れるのだが一本の道が出来ており、歩き易いからと皆さん忠実にそこを辿られている。下から上まで途切れる事のない人の列が出来上がっているのである。当然追い越せないし前が止まれば必然的に止まらざるをえない。
気温が上がり緩んでくると落石は必ず起こる。そして雪渓の上では音も無く転がってくる。それも真ん中が窪んだ形状に合わせまるでジャンスラやっているかのように緩やかな弧を描きながら落ちてくるのである。遠くからでは経路の予測がつかない。点と面(人の列)ではぶつかる確率は比べものにならないくらい大きくなる。
葱平に辿り着き休憩している時、目撃してしまった。直径2mはあろうかという大岩がスラロームで滑降して行くそして人の列を直撃。危険に直面しても人の動きはスローモーである。その後一人が横たわったままだったが、どうなったかは知らない。
朝方の締まっているうちなら兎も角、緩みかける頃や雨の中、そんな所に長時間に亘って居ることに何の不安も感じないって事が私には解からない。大雪渓は白馬の表玄関、安全なルート、という誤解が殆どの人々の頭の中にあるのではないか。
数年前にも同じような大崩落が起きている事すら忘れているのではないか。
登りに採ればリスクを負う時間が長くなる。それなら降りに採ろう。とは思わないのだろうか。
平坦で歩き易いという事だけで、毎日毎日大挙して登られているようですが、そこに隠されているリスクも今一度見直して貰いたいものです。