昔話

先日の帰宅途中、地下鉄の中でK君に遇った。
暫く前からちょくちょく見かける事はあったが大抵居眠りをしており、わざわざ起こしてまで確認するのも憚られる。それでつい声を掛けそびれていた。
それが先日は私が乗り込んだ前の席に座っており丁度目が合ったので声を掛けてみた。K君もすぐ気がついたようでそのまま昔話モードに突入。
早口でまくし立てるような語り口と、屈託の無い笑顔。それこそ目が無くなってしまうのである。こんな笑顔は大きな財産である。含み笑いが多い中で、腹蔵の無い笑顔は周りの人に大きな安心感を与える。誠実な人柄がすぐに見てとれるのである。
若い頃も若干小太りであったが、それに一層拍車がかかり貫禄たっぷりの中年太りである。そしておつむも一層薄くなっている。年相応とでも言えばよいのか…。
知っている限りの昔の仲間の情報交換やらお互いの近況報告をする。ごく偶にHiking程度の事をやっていたらしい。それも2年ほど前の栂池自然園から白馬大池辺りを歩いたのが最後だそうだ。ゴンドラ、ロープウェイでのお気楽コースである。
スキーも全く止めてしまったそうだ。ボーダーがウロチョロと鬱陶しいからだとか。まあ解からないでもないが、その鬱陶しいのをポールに見立て猛スピードでかすめていくのも快感である。(チョット意地悪かな?でもその後はゲレンデ真中で昼寝しているトドも姿を消します。)ボードは横に動くものだが殆どが進行方向を見ていない。だから動いている奴は厄介である。いきなり進路を変えてこちらに寄って来る事を、常に想定していないと危ない。リスクマネージメントを念頭に滑っているならそれはそれでひとつの訓練である。と言いながらもやっぱり鬱陶しい連中である事には違いない。違いは無いが今やスキーの方がマイノリティーなのである。これも世の流れなのである。
チョット脱線してしまったが、若い頃の仲間との再会は本当に嬉しいものである。約30分の乗車時間があっと言う間に過ぎてしまった。
K駅で下車の後カカバスに乗り込む。
「K君と遇った。えろうデブっとった。頭もキューピーさんに拍車がかかっとった。」
キューピーさんとは昔かみさんが付けたニックネームである。昔から頭も薄かったんだなあ。
「食事にでも誘えば良かったのに。」
ああ、そうだったなあ。全くそういう事に頭が回らないtanuoさんなのである。
まあいいや、またその内遇うだろう。
四半世紀ぶりの再開になんとなく心うきうきのtanuoさんなのである。