扁桃腺炎からの生還

ヒェ〜! 死ぬかと思った。
日曜の昼間から「なんだか変だな〜。」と思っていたら、実は熱が出ていたのだ。気付かない私はクルクルパー。
ランチタイムデートでゲテモノを食わされた所為か?と思っていた【むかつき】も実は熱の所為だったらしい。
「気分が悪いから。」と昼寝に就いたらそのまま夕方まで寝てしまった。夕飯に起こされたものの食欲無し。週にたった2回しか飲めない発泡酒もパスしてしまい、早々と風呂に入りまた惰眠を貪る。
寝苦しくて、夜半何度と無く目覚める。「今日は冷え込んでいるのかな?」と思うほど背筋が寒い。
潜り込んだ布団の中で目覚まし時計の音を聞く。「えっ、もう朝?」顔を出すとカーテン越しに薄ら明るくなっているのが見える。
「起きなくっちゃ。」と思うが起きれない。「我ながら怠惰な奴だ。」と思いながら渾身の力を込めて起き上がる…。  
???「あれっ、本当に起き上がれない。」力が入らないのである。なんとか起き出しトイレに向かうが平衡感覚が麻痺したかのようにふらつく。 鼻が詰まり喉が痛い。「あれ?風邪かな? 今日は休めないのに。」とは言うもののこの状態では会社まで辿り着けない。
「よし、午前中に医者へ行き昼から出社。」と決め込み再度ベッドに横臥する。
隣でかみさんが、「おとう、今日は休むの? 良いわねえ休める人は。」嫌味な一言である。
かみさんが出て行った後、会社に電話。そして病院へ。しかしいつになく身体がだるいなあ。
例によってまたケツに注射。ブスッ、ムチュ〜。おまけに今日は点滴付き。おいおい大袈裟なんじゃないの〜? そうは思うもののやはりいつもよりも様子が違う。無茶苦茶だるいのである。そして無茶苦茶寒いのである。そのくせ頭だけが熱っぽく、意識ここにあらずというか周りの様子が判然とせず、半分夢の世界を漂っているような感じなのである。
帰宅後もう暫く床に就く。悪寒が酷いので薄手のカシミアセーターを着込み布団の中でガタガタ震えているといつしか悪夢の世界へ。
まさかタミフルは処方されていないと思うが、仕事のことやら何やら訳の解からないものの映像が渦をまいており、妄想の世界に埋没して行く。
目覚めると全身汗でぐっしょり。多少悪寒は和らいだもののこの状態では仕事にはならない。諦めて会社へ終日休みの連絡を入れる。
その後はずっと悪夢の中。
夕方、かみさんの声で目覚める。
「おとう、何が食べたい? お粥? おじや?」
「ふつうの飯。」
「そんなもん無い。おじやにする。」
「おじやは厭。お粥が良い。」
「他には? ソフトクリーム? ヨーグルト?」
これはもう私の為にというより自分が食べたいのである。最近のコンビニのスウィーツは殊の外旨いのである。
お粥を頂いている間にかみさんは意気揚々とコンビニから引き揚げてきた。いろんなものをそれぞれ2個づつ買って。
私もソフトクリームを頂く。熱があるときは旨いんだなこれが。
翌日に備え早々に床に就く。が、またしても悪夢の連続。以前にも増して息苦しい。喉も痛いし頭も重い。ああ、このまま死んでしまうのではないか?死後の世界ってこんな苦痛が永遠に続くのだろうか? …丹波哲郎の世界じゃあるまいし、んなもんナイナイ。
(でも最近まことしやかに言う輩が多いんだよね。それでメシ食ってる人はそう言うに決まってますわなあ。)
夜中に何度も目覚める。寝汗でグショグショ。
そしてとうとう夜明けがやってきた。目覚ましも鳴ってしまった。「あかん、今日も休もう。」
昨日医者が翌日も来るように言っていたが、こうなる事を見越していたのかな。
会社へ連絡を入れると、インフルエンザだろうと言われる。そういえば医者からは病名は聞いていなかったな。我ながらいいかげんなおっさんである。
再度医者へ。またオケツの注射と点滴のフルコースが待っていた。おばさん看護士なら気にならないが、若いお姉さん看護士にこの汚いケツを見られるのは羞恥の極みなのである。「あ〜、ヤダヤダ。」
吸引の時に看護士おばさんに聞くと扁桃腺炎との事。
なんだか子供みたいだな。えっ、ちょっと待て。確か小学生の時に扁桃腺って左右共切り取った筈なんだけど…。