カーネーション

雨上がりの朝、一仕事終えてリビングで寛ぐ。
窓際に置いたリクライナーに身を委ね、オットマンに両足を放り出す。
正面嵌め殺しの窓にはイロハモミジがまるで絵のように額縁に収まっている。バックには淡いセルリアンブルーの空。そろそろ色付きかけた葉がバックの色に映える。
左手の窓からは庭全景がこれもまた絵のよう。雨に洗われた緑が鮮やかに映える。
築山の杉苔も昨年に比べかなり勢力を伸ばし、来年には全面が覆われそう。
雨をたっぷり含んだ杉苔は殊の外美しい。鮮やかな緑の星がちりばめられまさに緑の銀河。
台杉はこの春に刈り込んで貰ったにも拘わらず、もう形を崩している。まん丸にするには頻繁に刈り込みが必要なのだろうか。
時折陽が射し尚一層緑が輝く。空はまだ曇りがちながら青空もあちこち覗いている。雲のレフ板により影を薄めた絶妙のライティング。自然はプロの写真家なぞ足元にも寄せ付けない技巧派である。
ふと直ぐ脇に目を遣ると長石の上に置いた鉢植えのカーネーション。ピンクの蕾を付けている。
夏の間強過ぎる陽射しを避け玄関脇の軒下に置いてあったが、盛夏を終え花が咲かなくなったのでかみさんがまた庭に出したものだ。強い陽射しが戻り、また咲き始めたようだ。
このカーネーション、今年の母の日に買ったものだった。子供達が買ってくれる訳もなく、毎年私が買っている。私はかみさんの子供ではないのだが。
確かバームクーヘン付きで4,000円程度のものだったように思う。5月から4ヶ月過ぎてもまだ咲き続けているからものすごくお値打ち。
地中海地方原産の多年草で日当たりを好むものだそうな。露地植えにしてやるとまた来年も咲くかな? そうすれば来年から母の日のプレゼントは端折れるかな?
本来なら赤を買うべきなのだろうが、かみさんはピンク大好き。家着やパジャマなどはピンクばかり。セオリーに拘らないのが我家の流儀、って訳でいつもピンク。
かみさん、子供の頃は白を買わされていたんだろうなあ。あからさまに赤だと気が引けるから間を取ってピンクなのかな。