破綻の足音

先週末にAIJ巨額損失と業務中止命令のニューズ。
「AIJってAIGの日本法人かな? ひょっとしてこの火の粉、我が身に降りかかってるんじゃ?」
確か勤め先の企業年金基金ってAIGと関わっていた筈。(退職金はAIGから振り込まれていました。)
心配になり該当の年金基金を調べたら、早速トップページに「当基金にはAIJは組込まれていません。」の案内。
ああ良かった。(該当している方々には申し訳ありませんが。)下手すりゃ年金が貰えなくなるところでした。しかし機敏な対応ですなあ。これも顧客サービス? いや電話対応が面倒だから先に手を回したか。
それでAIJを調べてみるとAIGとは全く関係ありませんでした。ただまわりまわって何らかの影響は出るかもしれません。2000億円っていうとAIG(American International Group)にとってはあまりにも少な過ぎる金額だし。
高利回りと(架空の)実績を謳い中小企業にかなり浸透していたそうですが、甘い話には罠は付きものです。
国や企業の運用する年金は年運用益5%として設計されていた。と聞いた事があります。それがバブル以降の超低金利時代になり少子高齢化でなくても運用が難しくなっているのが実情です。その為企業側も運用リスクを負いきれず各個人に現時点の積立額を返還し運用も任せる。という方法を採るところも出てきています。
いくらケイマン諸島などのタックスヘイブン地域で運用したからといっても単純に考えればキャピタルゲインに対する税率、日本ならば20%が節約できるだけです。運用益が3%とすると税引後2.4%になるところが3%のままって事です。どう考えても運用益自体が10%、20%になる訳がありません。トルコやブラジルのように政策金利が10%を越えている国もありますが、為替が不安定でとても長期的な設定などできるものではありません。
これはどう考えても詐欺ですね。それを黙認していた金融庁にも問題がありますが。


そして今朝の朝刊にはエルピーダ倒産のニューズ。当に落日の思いです。
韓国、台湾勢に押され個々の企業単独ではたちうち出来なくなり、競争力を高める為の合従連衡で出来たエルピーダですがとうとうこうなってしまいましたか。日本破綻の足音がそこまで忍び寄っているようです。
日本の半導体産業が活況の頃、「日本のDRAMがなければアメリカは人工衛星も打ち上げられない。」なんてトンチンカンな事を言っていたアホウな都知事さんがいましたねえ。Iさんでしたっけ。【No と言える日本】なんて題の本でしたっけ。そんな事を豪語するバカが出るくらい活況だったのですがねえ。当に諸行無常ですな。
暫く前には日本の家電メーカー総崩れのニューズ、SONYPanasonicSharpなどの凋落を誰が想像したでしょう。
主因はTV生産への固執だったそうです。Sharpなんて他メーカーが見向きもしなかった液晶(LCD)を世界で最初に商品化した企業です。
早々とTV生産に見切りを付けた日立など大幅黒字を計上しています。東芝も黒字、いずれも発電施設(原発も含みます)などのインフラに関連する大型プラントに回帰した企業です。この産業も韓国勢との熾烈な競争を繰り広げていますが。
日本の強みであった産業がどんどん衰退しています。ずっと続いていた貿易黒字も昨年は赤字に転落してしました。
ずっと昔にリチャード・クーさんが言っていたように、貿易黒字で得た外貨を日本人の給料とする為、外貨を売って円を買う。これが良い円高の原因です。
日銀のインフレターゲット発表以後円安基調が続いています。貿易赤字では円を買う事もできませんからねえ。
そしてこれだけ疲弊してしまった産業がかつての力を取り戻す事なんて出来るのでしょうか。多少の揺れ戻しはあるでしょうが、中長期的には円安がもっともっと進行するでしょう。外貨を稼ぐ手立てが無くなった我々日本人、この先どうやって生活必需品を輸入すれば良いのでしょうか。北朝鮮を真似て偽ドル札でも刷りますか。
それとも若者全てが出稼ぎに海外に出るか。これが最もまともな方法でしょう。稼げない人達だけが残り税収も確保出来なくなれば無駄のオンパレード、役人天国も無くなるでしょう。
結局日本って国は一度破綻しなければ再生出来ないって事ですね。