ロマ

地続きの欧州、我々島国の日本ではなかなか理解し難い事が多いですね。
治安の悪化に業を煮やしたサルコジさんはロマ人の犯罪者に対し、国外追放や国籍剥奪などの強行手段をとろうとしています。対して他の欧州諸国からは非難囂々。人権擁護と言うより「犯罪者を輸出してくれるな。」という本音が見てとれます。各国ともに頭の痛い問題なのでしょう。
近代までは行商や旅芸人として各地を点々としていたのでしょうが、近年は多くが定住しているようです。とは言え国家の後ろ盾もなく、教育や経済基盤の無い人達にとって生活は苦しく3Kに励むしか生きる術がありません。アラブ諸国からの移民と同レベルの社会的立場に居ることは明らかです。自由・平等・人権云々と謳いながら、またそれらにおいての先進国を自認していながら、欧州には厳然たる人種階層が存在するのです。表向きはそれらとの人種間でも恋愛は自由と言いながら結婚となるとあからさまに反対される事になります。そんなだから余計小説のネタになるのかもしれませんが。
今日の夕刊にもロマに関する記事が掲載されていました。
ジプシーという言い方の方が日本人には馴染み深いかもしれませんが、多くの移動生活者の内インド北部のロマニ系の人達をこう呼びます。ルーマニア辺りに多い事もRomaと言う呼び名となにか縁が深いような。ジプシーはナポレオンのエジプト遠征後にエジプトからやってきた人達を指していたように思いますが…あまり記憶が定かではありません。
地続きであるが故に多くの民族が隣り合って生活することになります。ユダヤ人然り。
ドイツ在住のロマ達もユダヤ人同様ナチスの迫害を受けています。ユダヤ人ばかりが被害者のように言われていますがこれらの少数民族も優性保護の名目で世の中から駆逐されていたのです。
ドイツ民族を優秀なアーリアンの血統を受け継ぐ者と謳っていたヒトラーさん、ロマニ族もアーリア人と同じ北インドが発祥の地。アーリアンの血を受け継いでいるとは考えなかったのでしょうか。
実際のところはそんな事はどうでもよく、ドイツ国民の一致団結の為の手段でしかなかったのでしょう。丁度アメリカという多民族国家が常に仮想敵国を必要とするように。お互いの共通の敵さえ居れば異なる民族でも味方同士になれますから。


しかしこれらの人々って辛く悲しい歴史を背負って生きているのですね。そして今も生きることそのものが辛く厳しい状況です。それでも殆どの人々は犯罪に走らず明日に希望を持って生きています。我々日本人もその生き方を見習わねば。


哀愁を帯びたシェールの歌声が今頭の中に甦ってきました。


Gypsies tramps and thieves
We'd hear it from the people of the town
They'd call us
Gypsies tramps and thieves
But every night all the men would come around
And lay their money down


邦題は【悲しきジプシー】だったっけ?