体内コンパスの弊害

子供達が小さい頃、毎週スキーに行ってました。方向音痴のお兄ちゃんはいつも親の目の届く範囲から外れないように滑っていました。ところがS司はこちらが見張っていないと直ぐ消えてしまうのです。本能の赴くまま行きたい所へ行ってしまいます。まるで広大なゲレンデの隅から隅まで把握しているようです。鹿島槍-青木湖-佐野坂は各スキー場が狭い通路で繋がっています。初めて行っても目聡く連絡通路を見つけ端から端へと行ってしまいます。付いて行った親の方が迷いそうになっても野生の勘で元の場所まで連れ帰ってくれます。体内コンパスを備えている者にとってはなんでもなくてもそうでない者にとっては、「帰って来れないのでは?」とヒヤヒヤです。
「おーい、勝手にチョコマカと行っちゃうんじゃねーよ。」コンパスの無い者はこう言うよりありません。
それでお父はいつもS司の見張り役。かみさんとT哉は迷いようのないメジャーコースで。二組に別れても食事時には無線機で連絡を取り合流。おかげで樹林帯、深雪、崖落ち、ゲレシュプとバライアティーに富んだコースが楽しめました。