齢 Go Go!

土用丑の日。今日なぞ鰻屋は大混雑で待ち時間も相当なものだろう。
こんな日の夕飯は残り物で済ませるのがBest。 そこへT哉がやってきた。
「昨日のカレーしか無いよ。」とかみさん。
「いいよ。」とT哉。
そして「誕生日おめでとう。」と私に洒落た包みを差し出す。
「おお、Thank you! もうこの年じゃあ、めでたくも無いがな。」
少ないバイト代から、無理しなくても良いのに。こういう細かな気配りは、O型の特徴か。S司なぞ未だ何ひとつ貰った事が無い。貰っておきながらとりたてて嬉しくもないのは、B型の特徴か。
いや、親としては嬉しいには嬉しいのだが、それは『こんな事ができるほど成長したのか。』という感慨から来るもので、貰ったものに対する嬉しさではない。
早速開けてみると、ビールジョッキ。ちょっと小振りではあるが取っ手付きのフロスティグラスである。
「こりゃ、涼しくて旨そうだ。」
「毎週末、ビールを旨そうに飲んでるから、もっと旨く飲んでもらおうと思って。」
「週2日のこれしか人生の楽しみは無いからな。」いくらなんでも大袈裟である。
「なんだ、ケーキじゃないのか。 ケーキ買って来〜い。」とかみさん。
会社から貰った誕生ケーキも殆どひとりで食ってしまったくせに、本当によく食うやつだ。


「ところで幾つになったの?」
「解ってるだろ。」
「解らん。幾つ?」どうしても私の口から言わせたいらしい。
「Go Go!」
「ウウェ〜!」
「お前だってババアじゃねーか。」
「ババアとはなんだ。どこがババアなんだ!」言葉と同時に鉄拳が飛んでくる。
【**村の薬師丸ひろ子】といわれていたのも遠い過去の話。お互い年くったなあ。
そういえば元祖薬師丸ひろ子さん、時々TVに姿を現すようだが本物の方も年くったな〜。かみさんが年くうのも無理ないわ。


その後、T哉はかみさんにこき使われていた。T哉のスケープゴートのおかげでお父は開放。
お手伝いをしなくてよいと、ゆったりと寛げる。「T哉、Thank you!」


…今我家のとうもろこしが収穫の時期でして、毎日5-6本もぎたてを茹でたあと実だけ取り冷凍しているのです。実のつまりの悪いものだけ茹でたてで食べ、出来の良いものは冷凍保存しておきます。この実を穿る作業のお手伝いを毎日させられているのです。
肥料、手間など考えるとマーケットで買う方が余程お得です。しかし出来が悪く見栄えも悪いですが自家製の取れたての物って凄く甘くて市販品など比べ物になりません。それに農薬も使っていないので市販品のように残留農薬の心配もありません。全て自給って訳には行きませんが、多少なりとも無農薬品を安心して食べられるってのも悪くありません。精神安定剤換わりでしかないかもしれませんが。…家庭菜園の勧め。なんちゃって。