The Iron Lady

邦題【鉄の女の涙】。なんとまあ場違いな邦題を付けたものでしょう。
ここは原題どおり【The Iron Lady】と呼ぶ事にします。
数日前、出勤前のあわただしい中、朝刊に目を通していて最下欄に掲示された映画広告を見止めました。
以前の日記 にも記したとおり、【ダウニング街の日々】を買い損ねたtanuoさんとしては「サッチャーさんの映画なら是非観てみたいものだ。」と思った訳です。
そして本日3月17日の土曜日、天気は雨で御在所でのメタボ予防は中止。退屈していたところ過日の記事を思い出し、Netで上映しているかどうか調べたらやっているじゃありませんか。近所のモールに併設の映画館でもやっています。
【おさきにNet】と言うカード決済の予約も出来ます。シニア(60才以上)で1,000円、座席も中段の真ん中辺りが取れました。それで見てきた次第です。
内容はてっきり回顧録のようなものかと思っていたら、冒頭から年老いサッチャーさんが現れます。回想が映画の本題になるのかと思いましたが、それにしては現在のサッチャーさんの様子が長々と流されます。その中で認知症を患っている事も明かされて行きます。これも前述の2008年8月26日の私の日記でも記したとおりです。そんな訳で正気のサッチャーさんの回想ではなく認知症を患っている生のサッチャーさんの回想として過去が思い起こされています。そのサッチャーさん、御自分が認知症を発症している事も認識されています。そしてたとえ認知症でも御自分の信念には確固たるものがありそれが一層この映画に真実味を漂わせています。そして易きに流され易い我々への痛烈な批判となっています。
認知症治療に携わっている医師に言った言葉、詳細は覚えていないのですが、
「なぜ【どう考えるか】でなく【どう思うか】と聞くの? どう考えるかが行動となりそれを繰返す事で習慣となり、それが人格となりそして運命となるのです。」
たとえ認知症を患っていようと長年積み重ねてきた思想、哲学は厳然とサッチャーさんの中にあり、己の哲学を持たない健常者(生きているのか死んでいるのか解らない人)よりも、本当に生きているように思えます。
政界から身を引く事に繋がった身内である保守党の造反も、今の日本の政治家を見ているようで暗にこれを風刺しているのではないかとつい疑ってしまいます。政治家としての保身に走る人達、ポピュリズムに走るしか能の無い日本の政治家諸兄にも是非観て頂きたい映画です。
何事にも妥協せず最も大切な事を優先させてきたThe Iron Lady。やがて過度な福祉国家から無駄を排除した歪のない国へと脱皮しました。
フォークランド紛争にもその信念が表れています。経済的価値観だけで考えるなら2万kmも離れた地球の裏側にまで派兵し奪還する事は無かったでしょう。しかし理を通す事で国家の威信を全世界に向かって発信した訳です。これがまわりまわっていろんな面で国益に繋がるのです。
尖閣諸島での日本政府のあのお粗末な対応、あれがどれほど国益を損なったか愚かな日本政府と政治家達には想像すら出来ないでしょう。
「何をやっても日本は何も出来ない。何をやっても中国政府が後ろ盾になってくれる。」こんな中国人漁民の傍若無人さはどんどんエスカレートしています。そして韓国の警官殺害まで起こしています。尖閣諸島での対応が近隣のアジア諸国への迷惑にまで繋がっている事にも気が付かないのですかねえ。
映画の中でサッチャーさんが言っていました。Weak! Weak! Weak!…。(臆病者! 臆病者! 臆病者!…。)
正義を行うのになにを恐がる事があるのでしょう? 我々日本国民、ポピュリズムに走る政治家諸氏が思っているほどバカではありません。たとえ痛みを伴おうが本当に正しい事ならその痛みに耐えてみせます。
増税だって受け入れますがその前にやるべき事をやって下さい。そう公務員改革を筆頭に全てのムダを先に切り捨ててから。でないといくら増税しても全く意味がありません。野田さんじゃあ無理でしょうね。自らの哲学も無い人に何ができるものですか。