実質公債費比率

国の実質公債費比率が80.4%で夕張市より深刻なのだそうだ。
添付グラフによると夕張市は38.1%で、長野県の王滝村は42.2%と夕張市より酷い。
先週、王滝村の【おんたけスキー場】へ行ってきたが、ゲレンデはガラガラ、リフトも空き空き。「これじゃあ経営が成り立たないのではないか?」と思ったが、いろんなパラメータにその深刻さが現れているようだ。
シーズン初めにゴンドラ停止というトラブルが発生し、結局今シーズン中には復旧できなかった。その所為もあってか今シーズンはずっとこんなガラ空き状態だったらしい。歴史も古く規模の大きさから言っても近隣のスキー場とは比べものにならない有名スキー場である。あまりの凋落ぶりについ同情してしまう。
長きに亘りリフト待ちに苦渋を舐めさせられたスキー場ではあるが、それでも他より愛着があり好きなスキー場である。そう、ここには私の青春の思い出が刻まれているのである。スキーだけでなく御嶽登山と言うと昔は田の原をベースとするのが普通だった。四季を通じ御嶽山を遊びのフィールドとする者には、スキー場も含めこの辺りへの思い入れが大きい。
1980年代の空前のスキーブームが終焉を迎える頃に新設したゴンドラ。それと同時に導入したICチップの改札システム。これらの設備投資が経営に重くのしかかったのだろう。スキー人口が明らかに減りつつある事が目に見えていなかったのだろうか。
先々シーズンに北海道の企業に譲渡されてからICチップの改札システムは撤去された。安全の為人を付けるならリフト券を目で確認すれば良いことである。流行りに流され他所の真似をして導入したが、何の付加価値も生み出さず導入コストと保守費用がかさむだけのお荷物である。経営センスの無い素人集団が企てた失敗の典型である。
王滝村財政赤字は国の縮図でもある。規模の違いこそあれ全く同じ事を国もやらかしているのである。税収が確保できる内はまだ良い。しかし少子高齢化に伴い税収は伸び悩み、住民サービスの支出ばかりが増えるのはもう目に見えている事である。


実質公債費比率をひとつのパラメータとして見た場合、ある面ではこういった傾向が見えるのは事実である。しかしそれが全てでない事も事実である。「これが報道機関に携わる者の記事か?」と疑いたくなるような文言である。「国の財政、夕張より深刻」こんな人心を脅かすような書き方がよくもできるものだ。既に財政破綻した夕張市と処方次第でなんとでもなる国家とでは全く状況が異なるって事がわからないらしい。今更ながら学業優秀で報道機関に就いたエリート様の低脳ぶりに驚かされる。
一地方都市では不可能だが国なら必要に応じて通貨の供給量を増やす事も可能である。今のようにデフレ傾向が強い場合はインフレターゲットという手法も可能なのである。
民間のマインドが冷え込みお金が流通しない場合、民間に代わってお金を流通させるのが国家の仕事である。その為の赤字を是とするか否とするかは各人意見の違うところではあるが。しかし概ねその財政発動により景気は好転し、過熱気味になる頃を見計らって増税により赤字解消、というのが一般的な方法である。
公債の発行が多い事は問題ではあるが、一概に悪と決め付けられる事ではない。
この記事では人々の杞憂を煽っているだけとしか思えない。