縦割り行政

今朝の中日新聞に、「環境省バイオマス燃料普及に予算計上」との記事。
内容は通常のガソリンに3%程エタノールを混ぜたものの販売を石油業界に委託するとか。
化石燃料を売る事に特化してインフラを作り上げてきた業界にそんな事を依頼してもまともに受ける訳がない。 他の業界を競争相手としてぶつけなければ改革などできる訳がない。お役人の知恵なんてそんなものか。 幼稚園児でもそれぐらいの事は判断がつきます。
とはいえ、たったの3%でもそういった動きが出てきたのは良い傾向かもしれない。(環境保全に取り組んでいるようなジェスチャーだけかも知れませんが。)
バイオマス燃料の普及が望まれているのは、CO2排出削減も大きな理由のひとつですが、化石燃料の枯渇、調達の不安定さをヘッジする点も大きな理由です。そして危険極まりない原子力からの脱却、その代替エネルギーの調達の為でもあるのです。
政情不安定な中東に頼らなければならない石油消費国としては最も力を入れなければならないところです。
どうしてもヨーロッパ、特にドイツと比較してしまうのですが、我が国のエネルギー政策のお粗末さには呆れ果ててしまいます。
プルサーマルが頓挫しているのは誰の目にも明らかです。 国内で産出できる天然ガス石炭など殆どありません。 エネルギーの殆どを輸入に頼っていながら、全く不安を感じないで生活している我々ってよほどの大物か大馬鹿者ですね。
ガイアックスっていうのもありますが、税制上の盲点を突いて若干安くなっているだけで結果としてお役人全てを敵にまわしているだけです。 自動車メーカーもアルコール燃料使用では安全性を保証出来ないなぞと言っていないで、それを想定した車の開発をすべきでしょう。
アルコールの浸透性の高さからゴム等が劣化し易くそれにより事故に繋がるとか。 でもね〜、ラジコンのエンジンって燃料はメタノールなんですよね。 燃料タンクはポリエチレンで問題なかったし、燃料パイプはシリコンゴムだったかな。 多少コストは上がりますが無理な話ではありません。 現にヤマハなどは中南米向けバイクはその対策を施して輸出していたとか。
またアルコールじゃなくて擬似軽油を合成しても良いですね。 火災の危険性も無くなるし。
ドイツでは脱原子力法が2002年に発効しています。 2020年までに総発電電力の5%を下回る。 との事です。 その不足分を天然ガス、石炭で補うそうですが、バイオエタノール生産やBTL(バイオマス液化)軽油生産も今後急速に伸びてゆくようです。
そして…ドイツは世界の褐炭埋蔵量の1/5を占めているそうです。 自国内に潤沢にあるのです。 どこかの国と違って! それでも綿密なエネルギー戦略をたてているのです。 また、バイオエタノール生産の先鞭をつけたのが自動車メーカーであるVWである点も列挙しておきます。 トヨタハイブリッドカーも画期的には違いありませんが、国家的なエネルギー政策まで視野に入れた企業戦略という点では、VWに二歩も三歩も先を越されているように思います。
縦割り行政の欠点はお上だけでは無いようです。 民間企業も知らず知らずお上と同じ動きに陥ってしまっているようです。


化石燃料、脱原子力を視野に入れたエネルギー政策を行うとすれば、環境省だけでなく縦割りの枠を越えた行政が必要です。
ざっと揚げるだけでも、環境省経済産業省農林水産省文部科学省国土交通省、それに財務省総務省。 結局内閣主導で取り組まなきゃ一歩も進まないって事か。 国が破産するところまで行かなきゃこの国は生まれ変われないって事かな。


以上、高騰するガソリン代に文句を言う所が見当たらず、ひたすら愚痴っているtanuoさんでした。