山歩きも岩登りもスキーも基本は同じ?

昨日の御在所通勤時、Iさんとの話から。
偶々その前日、アルペンスキーの皆川選手をTVで見た。最短距離で滑る為にはポールの手前でターンを開始する。重心が遅れれば次のターンも遅れる。極常識的な話でWカップ選手などそんな話はとうの昔に超越しているものと思っていただけに「どこまで行ってもこの問題とは背中合わせなんだなあ。」と妙に納得してしまった。
私自身は下手の横好きの域から未だ脱する事ができないレベルだが、シーズン初めや疲れてくると自分の乗っている位置が解からなくなり、それを確かめるために片足ウェーデルンをやったりする。(身体が遅れていると内足ターンが出来ない)
また子供達も早めのターンを心掛けており、滑っている時はポールしか見ていないと言う。雪面の凹凸などは見ていなくても足裏で感じ、それにすぐ身体が勝手に反応しているようだ。
基本はやはり一本一本の板にしっかり乗り込んで行く事のようだ。
そんな話の後、キレットのスタンスに立ちながらIさんが言った。「踵を落として膝を伸ばす。という事がやっと解かりました。」なんでも半年間の所用によるブランクの後、体力が落ちている所為か無駄な力が抜けるようになったとか。今まではそうしているつもりでも恐怖心から膝が曲がり、その為踵も浮いたまま、腰はへっぴり腰だったそうだ。そういえば写真を見るとお尻を突き出している姿勢が多かったかな。そして力を抜き骨の上に体重を乗せている感じも解かったと仰る。
そしてこんどは歩き方に話が移った。
底の固い山靴で歩く場合、一歩前へ踏み出すとその前足に全体重を預け膝を伸ばす。そうすれば後ろ足はおのずと引き抜く形になる。平地を歩く時のように後ろ足のつまさきで路面を蹴るような歩き方にはならない。引揚げた後ろ足はそのまま前へ踏み出しそれに全体重を移し膝を伸ばす。体重を移しきった後ろ足は先程と同様に蹴らずに引き抜く。これの繰返しを続けるだけである。俗によく言われる【体重移動の連続】である。後ろ足のつまさきで路面を蹴らない=ふくらはぎの筋力を使わない。これが最も疲れにくい山での歩き方だと思う。
私が林道歩きが嫌いなのは、平坦すぎる為つい街中での歩き方(後ろ足つまさきで路面を蹴る。)になってしまい疲れ易いからである。つまさきの曲がらない山靴ではこの歩き方は適さない。ハイキングシューズなら良いかもしれないが、いろんなシチュエーションを含む山というフィールドではやはり山靴が最も適応範囲が広いと思う。
そんな話をしていたら、「山歩きも岩登りもスキーも基本は同じなんですね。」とIさんの言葉。
今までそんなこと思った事もなかった。いやむしろ上達しないスキーに対し、岩登りは静的バランスの連続、スキーは動的バランスの連続で正反対と思っていた。今にして思うと、スキーも周りは動いている(実際は自分が動いている。)が自分の身体は静的な状態を保っている。時折伝わってくる雪面からの変化に対し瞬間瞬間で微分的に対応するだけである。
なるほど! 常に片足にしっかりと乗り込んで行く。常に体重移動の連続。そうか、全て基本は同じだったのか。
さすがIさん、何事にも熱心で理解力に富んでいる。一を聞いて十を知る。私自身が今まで気付かずにいた事を一瞬にして見抜くとは! おそるべき中高年(失礼、心は20代)である。