貧者の道楽

最近手袋の傷みが激しい。いくつか使用中のものが軒並み傷んでいる。
と言っても格安で買ったものや、子供が通学時に使っていた既に傷みかけていたものばかりである。それらが一斉に使用に耐えなくなってきたのだ。
ボーダー用の掌側にビニールが縫い付けてあるものをメインとしニットの手袋を予備としていたが、そのメインの方がとうとう使い物にならなくなってしまった。(既に何度かパンクした所を縫って使っていた。)
それで先日押入れで見つけた古いハンガロを補修して使っている。フェルトを縫いつけ指先の綻びをカバーしたものだが、一度使っただけでそのフェルトが凄く毛羽立ち薄くなっているのである。
何か良い手はないか? と思っていた矢先パッチシールを思い出した。手芸店などで売っているフェルト製のアップリケになったもので昔のように縫い付けるのではなく、アイロンの熱で貼り付けるよう熱溶融性の接着剤が裏面に塗布してあるものだ。
手芸店といってもそれには疎いtanuoさんである。が、きっと100円ショップにあるだろうと出かけてみた。
意図していたものは無かったがネームシールとして記名用に白く薄い布製のものが見つかった。
こんなものでも毛糸やフェルトの保護にはなるだろうと買ってみた。
そういえばスキー用のグローブもテーピングテープで補修してあった。リフトでなくゴンドラが一般的になり、それに乗る為には板を外さなければならない。混んでいて並んだりするとその間ずっと手に持ったまま。濡れで柔らかくなったところをエッジで切る、という事が重なり掌側の傷みが激しい。そこをガードしているのだが、粘着力が弱く素材の革を傷めないので、擦り減ってきたらテーピングし直せば良い。と至って便利である。
しかし毛糸の手袋ではやはり張替えが大変そうである。下手をすると張替えの度に毛糸を傷めることになる。その点パッチシールならアイロンで再加熱してやれば簡単に剥がれる。
「うんうん、我ながら良いアイデアだ。」とひとり悦に入っているtanuoさんなのである。
実際の評価はまた後日するとして、早速アイロンで貼り付けているところをT哉に見られてしまった。
「なにやってるの? 家ってそんなにお金がないの?」
ちょっとカチンときたが、「うん、ねえなあ。」
「僕の給料の倍くらいは貰ってるんでしょ。」
「まあそんなもんだろ。」
「なにも買ってないようだけど欲しい物ないの? S司ももうそんなにお金かからないでしょ。」
言われて気付いたが、本当に何も買っていない。別に欲しい物もない。お小遣いで賄えないものでもかみさんに言えばたぶん買ってくれる。それでもお小遣いの範囲内で済ませようとしている自分に気付く。
最近カメラの調子が悪く買い換えようかと調べてみた。価格.comで最安値を探し手が届きそうでも、結局今使っているものを騙しながらでも使えないか無い知恵を絞っている。
因みに同じ100円ショップに売っていた【貼るカイロ】の小型版を買ってきた。これをカメラケースの内側に貼っておくのである。低温によるバッテリーの起電力不足が原因なので効果は期待できる。100円で5袋だったから寒い時期が3ヶ月くらいとすると300円/年で済む。買換えよりずっとお安いのである。
「貧乏人根性が染み付いているからなあ。」
T哉に言われてしまった。「三つ子の魂、百まで。」


こんな事ばかり書いていると如何にもケチの標本のように思われるかもしれない。
まあケチには違いないが我利我利亡者って訳でもない。結構無駄遣いもしているのである。スキーの道具などその典型で道具からウエアに至るまでブランド品ばかりである。山ではCW-Xなぞ履いた事はないが、これが市場に現れてすぐスキーで使っている。小物のソックス(スキー用では呼び名も違う。山用では靴下と呼ぶ。)にしてもサロモンなどのロゴの入った一足2千円ほどするものを履いている。かたや山用では三足980円のワゴンセール品である。
どういう訳か、山というと【貧者の道楽】という既成概念が私の頭を支配しているのである。そしてスキーは華麗な富者のスポーツという既成概念に囚われているのである。
【貧者の道楽】の道具であるなら前述の涙ぐましい努力も納得頂けよう。
(そう言ってるくせにスキーグローブのテーピングテープ補修、やはり貧者の方法でしたなあ。)
さあて手袋の補修、結果はどうかな? 来週が楽しみじゃわい。