忘却の彼方

時間待ちの暇潰し。
一昨日土曜日はS司のアッシー君で知多のふるぼへ。いちいち帰宅するのも時間及びガソリンの無駄になるので駐車場で待っていました。
入れ替わり午後はかみさんが同じ所で親の会。皆で一往復すれば良いのですが、あまりにも時間が無駄なので車2台でそれぞれ移動。
S司を待っている間は用意周到に久しぶりに文庫本。2階で目に付いたものを一冊取って行ったのでした。
そして本日のかみさんの定期検診にも同じ本を。はい、年と共に読むのも遅くなりました。活字を読む事自体も少なくなりました。
それは北杜夫の【白きたおやかな峰】です。
よく話の中で引用する言葉でもありますが、今現在どんな内容だったか全く覚えていません。まるで初読気分で新鮮な事!
最初に読んだのは私がまだ20代初めの頃。同じ北杜夫の【ドクトルマンボウ航海記】【あくびノート】等々と同じころだったように思います。
どれもまだ文庫本が刊行されていない時期で単行本ばかりだったような。よくもまああんなものをバカ高い単行本で買ったものです。
50代前から山歩きを再開、ボケ防止の為にHPを作り記事をアップするようになってから、この「白きたおやかな峰」と言うフレーズを引用する事も多々あり、読み返そうとしたのですが見つからず。この頃には内容なんて全く覚えていませんでした。
そう思いながらも時は過ぎ、つい暫く前にnetで廉いのがあったので文庫版を購入。数百円だったと思います。いやそれからもう10年近く経ちますかねえ。
読んでみて記憶の片鱗すら思い出せず、「まあこの程度の内容ならそんなに印象に残る訳は無いわなあ。」と記憶力の無さを棚に上げて自己弁護。そこまでは覚えていますが、その後現在に至るまでにまたまたその内容は忘却の彼方へ。やっぱり記憶力滅茶苦茶悪いじゃん。

何年か前、知り合いの若いお嬢さんが転職する事に。送別会には出られなかったので餞別のお菓子の紙袋に文庫本を一冊忍ばせました。まあ色々思い悩んでいるであろう事にちょっとお節介で。
今の立ち位置から少し離れて客観的に、「こういう考え方もあるんだよ。」とでも言うつもりで。
バートランド・ラッセルの【幸福論】なのですが、この本を薦めたいとすぐ思いつくのに具体的にどんな内容だったか細かな所は全く思い出せません。それで失礼かと思いながらも渡す前に一通り読み返してみました。いや、誤字脱字、落頁のチェックと言う事にしときましょう。
それほどまでに永い人生の中でなにもかも細かな事は欠落して行っています。
これが年相応? 色んな経験知からそれが持つベクトルだけが記憶に残り枝葉末節は忘却の彼方へ消え去っているって事でしょうか。方向性とその大きさだけを記憶に残しその他をワークエリアからガーベジとして捨て去っておけば小さな記憶容量で済みます。人間の頭って凄いです。