きつい事を言うようですが・・・

T社の北米でのリコールの件で。
先日は景気への影響に気をとられてしまい書き忘れてしまったのですが、敢えて苦言を呈します。
北米で発覚した事はなにも北米だけに限った事ではありません。他地域、当然日本国内でも同じ仕様で出荷されています。
口煩い訴訟社会だからリコールして、黙って我慢してくれる地域は知らんぷりをするつもりでしょうか。
ふと20数年前の衝突アセスメントの事が思い起こされます。
当時米国では高速衝突時の搭乗者の死亡事故が問題となり、衝突時の安全性、特にボディ剛性がとりだたされました。
そして衝突時の破壊状況がテストされました。結果は日本車は全滅。欧州車は全く問題なし。当時ドルの稼ぎ頭だった車産業は未曾有の危機に対しボディに補強を加える事でなんとか衝突試験にパスできたのです。そしてその補強は輸出車だけに施され国内向けは全く手を加える事はありませんでした。(いや、それはT社などの大手メーカーだけで、M社などの弱小メーカーは全ての車に補強を加えていました。製造ラインがひとつしかない為、輸出仕様,国内向けと造り分ける事ができなかったのです。)
当時は欧米人と日本人の命のお値段が格段に違っていたのもその理由かもしれません。
こんな事が私のT車離れのひとつの原因かもしれません。
その不信感を煽るような事がまた行われようとしているようです。
人それぞれですから「気を付けていれば問題ない。」と思われる方は今までどおりT車を愛用すれば良いことです。私は相変わらずT車を選ぶ事はありません。
因みにかみさんのDemio君、運転席側のフロアマットには前へずれないような仕掛けが施されています。床に付いたフックにマットを引っ掛ける構造ですが、そのフックがご丁寧に後ろ側へ返しが付いており、運転中に外れるなんて絶対に起こりようがありません。おかげで掃除の時も外し難く一見不便に感じられます。それでも安全第一と言うメーカーの信念が感じられます。150円のDemioでさえ事細かく安全性が保たれているのです。見かけばかり立派でもT車にはそんな心配りはあまり感じられません。
コストダウンと安全性との間のトレード・オフの関係は不可避とでも思っているのでしょうか。かつて品質とコストダウンはトレード・オフの関係と世界中が信じ込んでいました。それを打ち壊したのが日本の工業製品であり、そのおかげで世界中の市場をメイド・イン・ジャパンが席巻したのです。その筆頭がT車でもあった筈です。いまいちど安易なコストダウンより品質・安全性・コストダウン全てが成り立つような考え方に転換して頂きたいものです。


物事への取組み姿勢にお国柄とか民族的な考え方の違いをよく感じます。
前出の衝突アセスメントにもその違いが如実に現れています。
日本では「時速100kmの猛スピードでぶつかるような運転をした者が悪い。」と考えるのが一般的です。
欧州では「時速100kmが出せる車ならそのスピードでぶつかっても大丈夫な車にしないといけない。」と考えるようです。
それがアメリカでの衝突アセスメントの結果にもろに現われたという訳です。
こういった根源的な考え方の違いってよく感じます。
鳩○さんのCO2排出量25%削減にしても、およそ日本的な理想論・奇麗事に見えます。出来もしない事を言うくらいならブッシュさんのように最初から「無理だ。」と言う方がよほど正直です。
国民の総意でもないものをさもそうであるかのように国際社会で先走るなんてちょっとおかしいんじゃありませんかねえ。そしてそれを国民に押し付けるって、どうみても納得できません。
おっとっと〜、また脱線。
何が言いたいかというと、理想を持つことは必要な事です。しかしその実現の為のアプローチもなにも手だてのないまま理想論をぶっても誰もついてきません。実現可能なステップをひとつづつ登って行き、その到達点が理想の目標となるようなロードマップがまず必要です。その具体案も何もないまま25%削減という数値のみを国際社会に約束する事自体、全くのリーダーシップの無さを露呈しているようです。一見海外での反響が良いように報じられていますが、何のメリットも得られないまま一方的に言質を取られてしまっただけです。きっと欧米の指導者達は心の中で「アホウなやっちゃ。」と思っている事でしょう。
あ、あ、あ、またずれちゃった。
要は何事を進めるにしても経済合理性が伴っていなければ継続しないし、当然理想に近付く事などありえない。ってことです。
カーボン・オフセット、排出権取引などはそれを進めるためのひとつの手だてです。
負担をする側にはそれが可能な範囲で負担してもらう。産業自体が成り立たなくなるような過度な負担では続きません。
負担に協力する側にはそれが永続できるような利益をもたらす。すべて経済的に成り立たないとサスティナブルとはなりえないのです。こういったプラグマティックな考え方が日本人には足りないように思います。


T社さんもなりふり構わず一人勝ちを目指す社風から、同業者の一員としてその産業全体の成長の為に努力する大人の企業になっていただきたいです。そうなれば私もまたT車のファンになるかもしれません。


T通商が南米ボリビアの塩湖からリチウム採掘権を得たとか報じられていました。リチウム電池が今のところエネルギー密度が最大ですが、それでもまだ内燃機関+燃料のエネルギー密度(重量当たり)には全く敵いません。おまけに価格的にも。
リチウムを採取するのなら海水から得る方法がひとつのイノベーションとなるでしょう。その次はリチウムよりもっと一般的な元素を使ったよりエネルギー密度の高い電池の開発。
最早、車屋さん一社だけ、機械屋さんだけでは次世代の車は開発できなくなってきているのです。世界中の知恵を結集して取組む時期に来ているように思います。その為には各国政府も一緒に取組まなければなりません。
「自分達さえ儲かれば良い。」から「全ての人が永続的に幸せになるように。」と発想を変える時に来ているような気がします。




<おまけ>
10/2 眼底検査  次は3ヵ月後 …正月休みかな。(忘備録代わりに)