数年前から噂では聞いていました。5月初めに偶然T哉と地下鉄で一緒になり横浜のモーターショーに行くとの事でした。
そのショーでいよいよSKYACTIVが発表されたようです。HVでも無く過給機も無しで30km/Lの燃費を実現したとか。
HVにしても過給機にしても小さめのエンジンで基本の燃費を下げておき、加速時に不足する出力をサポートする為に電動モーター或いは過給機による出力アップを供する。というものです。HVはトヨタをはじめ日本車が力を入れていますが大幅なコストアップは否めず欧州車はHVは高級車、廉価帯では過給機と使い分けています。
こういった方法は誰でもが考えるごく一般的なものです。しかしマツダさんは違っていました。まさに発想の転換。独自の方法で内燃機関の熱効率そのものを向上するべく挑戦していたのです。50年前にはロータリーに挑戦し、そして今また内燃機関そのものの常識を覆す事に挑戦しその成果を成し遂げたのです。
このSKYACTIVは6月30日に発売開始するデミオに搭載されているそうです。
圧縮比を上げれば熱効率が上がる事は理論上解っていた事ですが、高熱による早期発火でノッキングを起こします。それを避けるため各社色々な方法を取ってはいたのですが今の圧縮比が限度となっていました。欧州車などは燃えにくい均質のプレミアムガソリンと直噴で潜熱を奪う事でシリンダー内の温度を下げる方法を取っていますが、日本車の場合はレギュラーガソリンが一般的なのであまり圧縮比を上げる事はやっていません。それをいろんな方法の組み合わせで通常10:1程度だった圧縮比を一気に14:1にまで引き上げてしまったのです。同時にSKYACTIV-D(ディーゼル版です)では通常20:1程度だったものを14:1にまで引き下げてシリンダー温度を下げNOXの削減に成功しています。これも発想の転換でしょう。大気で燃料を燃やす限りそこに80%も含まれる窒素からNOXが生じるのは防ぎようはありません。ガソリンでなく水素を燃やしても高温になればNOXは出ます。触媒などの後処理が必要なくなればエンジンの簡素化によりコストダウンとメンテ性の向上に繋がります。
そしてこのSKYACTIVの低燃費はHVや過給機とトレードオフにはならず組み合わせが可能であるという事がまたその可能性を広げています。
単体でも低燃費高出力、それに過給機を付ける事もまたHVとしてモーターアシストを付ける事も可能なのです。
まさにこれこそがイノベーションと言えるでしょう。
トヨタのHVも大きなイノベーションには違いありませんが、ターゲットを高価なものが買えない開発途上国としている点がいかにもマツダさんらしいです。視点を先進諸国に置いているか全世界の市場に置いているかの違いがこんな所に如実に現れています。
おウチの予算オーバーでAuちゃん買換えが遠のいてしまった事だし、SKYACTIVのデミオでも買うかな。こちらをかみさんの通勤用として今のスポルトを私が貰うってのも良いんじゃないかな?だってスポルトって無茶苦茶楽しいんだもん。
Audiが小型ロータリーをマツダから供給を受けるって話もあるようです。A1 e-tronの発電専用にコンパクトなエンジンが必要との事だそうです。Audiに吸収されたNSUこそがロータリー(2輪用)の産みの親であり、マツダさんはそのNSUから特許を買取り4輪用として開発に成功したのです。産みの親の所に里帰りするなんて結構ロマンチックですね。マツダさんも感慨深い事でしょう。