石橋タイヤ

夕べ睡眠導入剤(TV)で石橋タイヤの宣伝を見た。
「おいおい、バイエルン車屋さんの宣伝をしてあげてるのかよ。」
なんともお人好しのタイヤ屋さんである。
バイエルン車屋さんは一昨年のニュー3シリーズの発売と同時に全車ランフラットを標準とした。2年以上が過ぎてからの宣伝っていうのも間の抜けた話である。F車のSUV【探検家】で頻発したバースト問題が遠因か?と思うのは少々気の回し過ぎか。
ランフラットタイヤはパンクしても高速走行が可能である。B車は確か80km/hまでと謳っていたと思うが、石橋さんは100km/hまでと謳っている。ベンダーの仕様より落とした仕様とするのがセットメーカーの常識である。それがマージンとなるのである。
そんな都合の良いタイヤではあるが、それが逆に禍してパンクした事が解らないのである。
B車の場合はABSと組合わせ、タイヤの回転差を検出してパンクしていることを運転者に知らせるシステムとなっている。ランフラットに対応した車でないとパンクが解らないのである。そして現在それに対応した車はB車しか無いのである。(オプションで設けているものは若干あると思いますが。)
という訳で「バイエルン車屋さんの宣伝をしてあげているのか。」という言葉が出てきた次第。
まあ余程注意深く運転者がヒューマンセンスするつもりなら普通の車に履かせても構わないが…。


B車はベンダーの仕様より落とした仕様を謳っているが、世の中にはこれと逆の事を平気でやらかす車屋さんがあるのである。
タイヤメーカーの適正空気圧より極端に低い設定を勝手にしておいて、それが原因でバーストし搭乗者が死亡してもタイヤメーカーに責任転嫁しているのである。空気圧を下げなきゃ乗れないほど乗り心地が悪いのは、車の設計自体の問題だと思うのですがねえ。
そう、冒頭で述べたF社のSUV【探検家】の話です。
当初事故原因もまだ解明されていない時期、火石タイヤは逸早く自主回収する旨を発表した。逆にF社のCEO ジャック・ナッサー(腹立たしいので実名です。)は全面的にファイアストーンの所為にする発表をした。
アメリカ人というのは品格に乏しい人が多く、「自主回収するのはやましい事があるからだ。」という考え方しか出来ないのが一般的なようだ。そして世論はファイアストーンだけを悪者にして行った。
当時の経済欄記事などにはジャック・ナッサーのしたたかさとCEOとしての辣腕ぶりを讃えるものが多かった。
しかし、人命を最優先すれば原因解明なぞ待っておれない。疑わしいものは疑いの無いものと交換すべき、たとえ膨大なコストがかかろうとも。 この火石タイヤの決定は正しかったと思う。それを支持した親会社の石橋タイヤも。
解明が進むにつれF社のSUV【探検家】の空気圧推奨値が異常に低い事が判明。火石タイヤが他メーカー(GMなど)に納めた同仕様のタイヤではバーストなぞ一件も起こっていない。
そしてF社はこっそりと空気圧推奨値を上げているのである。その後バースト事故は起こっていない。
この事をアメリカ国民はどう見ているのですかねえ。相変わらず「やましい事があるから自主回収を発表した。」と思っているのだろうか。いまや世界中の常識・非常識が簡単に比較できる時代である。アメリカ単独のローカルスタンダードが世界に通用しない事は、一部の先進的なアメリカ人は充分理解している。
疑われようが逸早く自主回収を行ったのはユーザーに対する誠意の表われである。
結局ジャック・ナッサーはF社から解雇され、F社自身も現在販売不振と大赤字に喘いでいる。
単なる法遵守としてのコンプライアンスではなく、人として自分達の行為が正しいものなのかどうか、広義のコンプライアンスが求められている。
石橋タイヤさんの採った行動はまさしくこのコンプライアンスに則ったものだったんですね。


で、我家では特別な理由でも無い限り石橋タイヤを履いている。ミシュランピレリー、コンチネンタルなどよりもずっとお廉くパフォーマンスも高いです。他の国産タイヤより若干高価ですが。
そしてもしアメ車を買うとしても絶対にF車は買わない。60年代の名社【野生馬】のリニューアル版にはチョット食指が動かされるが…。誰かが【マッハ1】(Mach 1)の事をマッチワンって読んでいたなあ。しょうもない事ばかり思い出すtanuoさんなのである。