参院選

国民の権利であるとともに務めでもあります。皆さんこぞって出かけましょう。


最近成熟社会とか成熟都市とかよく言われる。成熟と言うと聞こえは良いがもう成長が望めないって事の裏返しでもある。高所得を求めるよりも精神の安定やその他の利便性を選択する傾向が世の中全体で強くなっているそうである。
一党独裁による政治的安定は成長期には有効である。事実そのおかげで吉田内閣の下、白洲次郎が創設した通産省の果たした役割は目を見張るものがあった。一時期石橋政権に譲ったもののそれに続く自民党の長期安定政権のおかげで所得倍増、「もはや戦後ではない。」発言へと続いた訳である。
社会の授業で聞いた語呂合わせが思い出される…「石橋渡って、行けた行けた(池田)。」
しかし長期安定は腐敗をももたらす。成長の為の必要悪の場合もあるが、成長が望めなくなった成熟社会では癌と同じである。病巣は速やかに摘出し転移を避けなければならない。そして癌の発生を促す怠惰な政治と行政には緊張感という特効薬を処方するしかない。
民主主義の歴史の長いUKでは保守党と労働党の二大政党、それに習ったUSも共和党民主党の二大政党が拮抗しその緊張感は政権だけでなく行政を司る各省庁にまで波及している。ちょっとした不手際でも政権交代に繋がりそれだけ国民の声が政治に反映され易い状況が、尚且つ国民の政治への参加意識を高めている。どこかの国のようになにをやらかしても政権が揺れ動く事がなければ、国民は政治参加する気もなくなり投票率も下がる一方である。二大政党の場合、野党にしても政権交替の可能性が高い為、どこかの国の野党のように【反対の為の反対】なんてバカな事はやらず、実効性の高い改善提案を出す。それがまた国民の政治参加を促す。
今の政権、行政の不祥事は、過去から続いている一党独裁とその安定の上にアグラをかいてきた、政治家、官僚達が継続してやってきた事の一部分である。氷山の一角でしかなくその下にはもっと大きな問題が隠れている。年金も問題ではあるがその資料があろうがなかろうが、国が破産してしまったら支払う事は出来ないのである。今最も問題とすべき事は、政治家だろうが官僚だろうが【働かざる物食うべからず。】という共産党の昔のキャッチフレーズを徹底させる事である。(この言葉だけは共産党にしては的を射ている。)
国家を破産させない為にも、政府、行政のリストラが必要な時である。詐欺まがいの事をやっている農相は勿論、無駄遣いをしている省庁にはきっちりと返還を求め、応じられないなら関係者の私財を差し押さえても、取り立てる。また刑事罰も当然与えるべきである。何の付加価値も産まない省庁なぞなくしてしまえば良いのである。そして業務自体はアウトソーシングすれば良い事である。民間企業では当然の手法である。その方がサービスも向上するし当然コストも下がる。
そしてもうひとつ。農業の法人化が認可されて久しい。一方で後継者不足から廃業する高齢の農家も多い。こんな状態にしてしまったのは保護の名の下に農業の育成を怠ってきた農政省の怠慢である。いや犯罪と言う方が正しい。そんな中での法人化の認可は戦後農政始まって以来の快挙と言っても過言ではない。いや行き詰った結果の苦肉の策というのが実態か。企業の参入もよく耳にするが流通を含めまだまだインフラが未整備である。今やるべき事が最も多く、また遣り甲斐もいっぱいである筈の農政省のトップがあんな人間ではねえ。人選能力の無い安倍さんらしいわ。いやそれほどまでに手駒が無いのだろうか。いずれにしてもこのままでは農政改革の足枷でしかない。
自給率云々より競争力を高める事が先ず第一である。競争力がつけば参入する人や企業も増え魅力も出てくる。そうすれば市場自体が大きくなり生産量も当然上がる。リスクヘッジの為の自給率なぞ考えなくとも有事の場合は輸出に回す分を国内に回せば良いのである。
中国富裕層の間では魚沼産コシヒカリが日本でも考えられないような高値でも人気が高いそうである。競争力を付けると言っても価格競争力なんて考えなくて良い。ブランド戦略が最も妥当な方法と思われる。安全性、味、品質等に特化出来るのは日本の農業のお家芸である。また農業以外の周辺技術も高くこの底辺の広さを味方にすればブランド戦略は充分に成り立つ。
世界的に日本食はヘルシーで味も良く人気が高い。この神話に近い日本食への信仰を利用しない手はない。そして食料品価格の低い国でも日本食レストランは日本と変わらない価格で充分繁盛している。これだけ高い価格でも安定的に顧客が確保できるのであれば、サクラメント産のコシヒカリより魚沼産のコシヒカリでも充分商売として成り立つ。いや魚沼産ブランドの方が集客力が上がるかもしれない。そして第二第三の日本産ブランドを育てれば良いのである。
また農産品以外にもその製法ノウハウを商品として輸出する事も考えられる。今中国から輸入されている農産物、畜産物、海産物の多くは日本の商社が現地生産者を教育し製造ノウハウを教えたものである。ヴィトンのバッグの様に生産地は中国でも日本製ブランドを与えそのロイヤリティを得ると言う事も充分可能なのである。
こうやって国際競争力を高め日本の農政を活性化させる事が今最も優先するべき施策である。通り一遍のマニフェストしか思いつかない各政党、困ったもんです、ハイ。
緊張感を持って職務に励んでもらう為にも政権交代に繋がるよう投票してきました。
さて吉と出るか凶と出るか。