糧か無駄か

実際のところは解かりません。後になってどうだったか結論付けることは出来るかもしれませんが、それすらも思い入れにより大きく左右されます。
しかし費用対効果は別にすると、全くの無駄であったという事はまずありません。全てが将来の為の糧になっていたと思います。
私個人でいうなら、子供の頃から趣味に多大な時間とお金をかけてきました。学校以外の時間は殆どこれに費やしていたと思います。お小遣いの全て、バイトで稼いだお金も全てこれに充てていました。作っては壊し作っては壊しで他人の目には全くの無駄としか映らなかったでしょうが、今の私があるのは全てこの無駄のおかげだったと思います。この大いなる無駄が私自身の糧だったのです。
職に就いてからもかなりの無駄遣いをしています。PCが世の中に現れて30年以上経ちますが、出て間もない頃に買っています。続けてフロッピードライブ、プリンターと毎年のボーナスを注ぎ込んでいました。ざっと6-70万円。独身だったから出来た事です。今のようにWindowsの下で実用的なアプリケーションがあるわけでもなく、BASICかマシン語しか無くもっぱらゲームマシンとしてしか使っていませんでした。これも大きな無駄なのですが身近にありいつでも触れるというメリットは多大です。早い話「習うより慣れろ。」が地で行けた訳です。
目を職場に向けてみます。
会社の規模の割りにかなり先進的に設備投資を進めていたと思います。他社からは身の丈に合わない分不相応な投資と思われていたかもしれません。しかしこの先行導入が他社より一歩先にそのリテラシイを身につけそれが競争優位に繋がっていたと思います。先進的な設備なんて導入したその日からそれを使いこなせる訳ではありません。それを使いこなしそのメリットを享受するのにかなりの時間を要します。一年早ければその一年間、他社よりも優位に立てる訳です。それとやはり「習うより慣れろ。」を地で行けます。このメリットは多大です。
費用対効果を考えて躊躇している間に時間はどんどん過ぎて行きます。先行投資は時間を買うと言うことでもあるので、導入を決めたなら一分一秒でも早く導入すべきでしょう。それが優位となり利益に繋がります。その利益をもって次なる先行投資と続ける事が永続的な競争優位に繋がります。


こういった一般常識を持ち合わせておられないズブの素人集団が事業仕分けに携わっておられます。
「無駄の排除」と非常に聞こえは良いのですが、このままでは一体どうなってしまうのかとても心配です。
「二番では駄目なのですか。」こんな言葉が出る事自体この方の行政担当者としての資質を疑ってしまいます。元は芸能界にいた人らしいですがそんな経歴の方はゴマンといらっしゃいます。しかし皆さん政界入りと同時にそれに相応しく猛勉強なさっています。自身の考えの足りなさを補う為にその道のブレインで周りを固めています。
かのレーガン大統領、レーガノミクスと呼ばれる大規模な規制緩和で米国経済を立ち直らせた(そのきっかけを作った)偉大な人ですが、彼がハリウッドスターだった事も皆さんご存知でしょう。
芸能界出身だからといって政界に身を置く以上不勉強は許されない事です。
運用上の無駄を指摘するのは大いに結構。しかし将来の糧となる事業そのものを削除してしまうことは絶対に許されません。
はやぶさ】の偉業でJAXAには追加予算が組まれるかもしれません。しかし同じような価値を持つ他の多くの事業は予算を削られたままです。今一度、仕分けそのものを見直す良い機会だと思うのですが…。