サミット閉幕

懸念されたテロの発生もなく無事終わりました。
G8首脳だけでなく経済主要国や途上国を交え、その調整役に徹したホストの福田さん及びスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。
警備にあたられた警察の皆さん、暫しの北海道出張お疲れ様でした。


閉幕と同時にいろんなところから批判じみた評価が出ている。やれ玉虫色だとか、指導力が足りないだとか。
そんなに仰るならあなたがたがやってみては? あるいは開催前にシナリオの提案でもしてたのでしょうか。後から批判するだけなら誰でも出来る事くらい幼稚園児でも知っています。それを敢えて言うのは幼稚園児以下の知性しか持ち合わせていない事を自ら宣言しているように思えますが…。


これだけ多くの国々の人達と調整する訳ですからなんとも大変な事だったろうと思います。
途上国の人々にしてみれば、地球環境を現在の状況にした張本人は先進国。さんざん破壊し尽しておいて次は我々の番と思っているところへいちゃもんを付けて来る。先進国は身勝手だ。と思うのも当然でしょう。
【衣食足りて礼節を知る。】の言葉どおり、その日の糧にも事欠く人々にとって地球環境なぞ別世界の話。それほど切羽詰っている人達を抱えている多くの国があるのですから、調整が一朝一夕に行かないのも当然です。
不評の内容としては、成果に乏しいというNGOなどの意見と、途上国側の先進国への不信感に割れているようです。
その為の会議でもあった訳ですからそれぞれがそれを認識しただけでも大きな成果であり、今後も継続していく事が必要です。
NGOメンバーなどは先進国の人が殆どで途上国の現状を認識していないように思えます。またこの手の人達はヒステリックな人が多く過激な意見もよく聞かれます。非効率を非難されてもそれをやらなきゃ今食べていけない人達の現状も察して貰いたいものです。
とは言うものの事ここに至っては猶予が無くなってきているのも事実です。
ヒステリックになる必要はありませんが、個人個人が出来る範囲で無駄を避けるよう努めたいものです。
そのためには本当に努めなければならない事とそうでないことと明確にする必要があります。風評に流され全く意味の無い事に心血を注ぐ、なんてことは避けなければなりません。
今、メディアの世界ではこれらの風評が錯綜し、まことしやかに無意味な事を薦めたりしています。
流言蜚語に惑わされないよう、ひとりひとりが気を付けなければなりません。


かつて品質とコストはトレードオフの関係にあるものと考えられてました。その常識を打ち破り品質とコスト低減を両立させたのが日本の工業製品であり、瞬く間に世界中の市場を席巻してしまいました。(おかげでジャパンバッシングも受けましたが。)
それと同様に、コストをかけず効率良くしかも環境負荷を軽く。こういったイノベーションが今最も求められています。これなら途上国にも受け入れられる筈です。「ルールを守らないとんでもない国だ。」などと決め付けず実行可能な手立てを模索し協力し合って行くべきです。
また何事もそうですが、なにかをしようとする時、経済合理性が伴わないと継続しません。
安全はお金になる。環境負荷を減らすことが儲けに繋がる。というロジックが成り立たなければ誰も努力してそれをやろうとは思いません。それが可能となるような方法を思いつけば儲けに繋がると解れば誰もが競い合って努力し、それがお互いの刺激となりより洗練されてゆきます。
(儲け儲けとお金の事ばかり言って不謹慎と思われるかもしれませんが、これが真実であり共産主義の失敗の原因もこの人間本来の欲を見誤ったところに根ざしています。)
この大いなるイノベーションの為の下地が揃っているのが今の日本のポジションだと思います。
大きく低下したとは言え、まだまだ教育レベルは高いところにあります。
底辺が広く、かつ深い産業を持っています。それらを組合わせる事を得意とするインテグレーターも多く持っています。そして今直接世界中から求められている、即利用可能な技術も多く持っています。ボランティアでなく実利を伴った貢献が直ぐにでもできる環境が整っています。
無意味な箱物のODAでなく即効性があり相手先の産業にも国内の産業にも実利が伴う援助に注力して貰いたいものです。そしてそれが環境負荷軽減に繋がるものであればこれ以上の事はありません。
国内の乾ききった雑巾を絞るより途上国の水が滴っている雑巾を絞る方が効率良く比べものにならないほど大きな成果が得られます。カーボンオフセットの考え方にこんな案を加える事も必要になってくるでしょう。欧州では炭素取引銀行なども設立に向けて動いています。どこで削減しようが要は削減総量が目的なので理屈としては成り立ちます。
今はCO2ばかりに注意が向けられていますが、温室効果ガスはCO2だけではありません。中でもメタンはCO2より比べものにならないほど大きな温室効果の能力を持っています。ただ現在ではCO2に比べ排出量が極端に少ない為問題視されていないだけです。いずれCO2の削減が進めば次はメタンが問題視されるようになります。
そのメタンの発生源が水田である事を皆さんご存知でしょうか。気温の安定化、気候の安定化に役立ち、かつCO2を吸収してくれる水田も一方ではメタンガスの発生源でもあるのです。多様な水生生物が有機物を分解して作り出している訳で、これはこれで生物多様性の上ではとても重要な事なので一概に悪者にする事もできません。微妙なバランスの上に我々生き物の生活が成り立っている事がこんなところからも解かります。
水田から発生するメタンガスもいずれはエネルギー資源とするような方法が開発される事でしょう。次の世代を担う若い人達に期待しましょう。