少々バブリーなお話です。
今の家に引越して間もない頃、かみさんが「ネックレスが欲しい。」と言い出し、2人で出かけました。
たぶん友人の結婚式や学校の参観のためのスーツに合わせるためだったように思います。
栄のデパートをあちこち探しまわり、あるお店で金の鎖状のものを買いました。
そのお店の販売員さんに言葉巧みにダイヤのネックレスも進められました。
ちょうど家を買ったばかりの頃でもあり、金銭感覚が麻痺していたのかも知れませんが、「こうして家を持てたのも、かみさんの内助の功のおかげ。」との思いもあり、思い切って買っちゃいました。
幼い頃から着飾る事も無く、清楚なだけがとりえのかみさんが、なんだかいじらしくて…。
販売員さんの話では、購入後3年経てば購入価格で買い戻してくれる、【買取保障付き】との事で、かみさんもそれに魅力を感じたようです。
帰宅後2人でしげしげとながめ、鑑定書を克明に読んだり、結婚当時のエンゲージリングを持ち出し見比べたり。
そこで気付いたのですが、粒は小さいがエンゲージリングの方が輝きが強い。でも素人の眼よりプロが鑑定したものの方が信頼できる筈。単純な疑問をそのまま黙殺していました。
それから3年はおろか5-6年ほど経った頃、かみさんが聞いてきた。
「車が欲しいからあのダイヤ、買い戻してもらってもいい?」
「あんたのものなんだから好きにして良いよ。」
この間、身に着けた事なんて殆ど無い。これが本当の宝の持ち腐れ。こんな事なら車に代えて有効活用した方が良い。
いざ買い取ってもらうとなると、なんだかんだと嫌がられるのだろうと思い、交渉できるように僕もついていった。が拍子抜け。あっさり買い取ってもらった。
その後暫らくして【ココ山岡】の倒産がマスコミを賑わせる事になるのである。バブル期の過剰な販売から急速に売上が下落、それに輪をかけて急増する買取要求。売上が右肩上がりのままなら問題にはならなかったのだろうが、こういった商売は難しいですね。
おまけに鑑定書も水増ししてあったとか。実際の価値は販売価格の1/3程度だったとか。
この時頭に過ぎったのは、エンゲージリングと見比べ、輝きが悪いと感じた事。
「ああ、素人の直感って案外鋭いんだな。」
その後買い取ってもらえなかった人達が被害者の会などをつくり集団訴訟をしているらしいが…。倒産しちゃったものをいくら相手取っても、【無い袖は振れない。】でしょうね。
被害者の方々には申し訳ないが、家は運が良かったなあ。
このダイヤを買い取ってもらった資金で買ったのがカルちゃんです。
この頃かみさんは冬場限定のアルバイトにスキー場通いをしていました。2駆の軽太郎君ではチェーン巻くのが面倒いし、ワンボックスワゴンではデカ過ぎるので、4駆のセダンクラスが欲しいと言っていたのです。
いろいろ見比べたり乗り比べたりした結果、コストパフォーマンスに優れたカルちゃんに決まりました。
ダイヤが車に変身。
カルちゃんの重みは1カラット=0.2gなのです。