足慣らし

本日の御在所通勤は先週買ったローバの山靴で。
勿体なくて下ろすのは雪が降ってからと思っていたのですが、いざ本番で不具合発生っていうのも少々おバカ過ぎるかと思い、取り敢えずは足慣らしに。
先程帰宅して早速インプレッションの書込みです。
いやはや驚きました。どこか当たって痛い思いをするだろうなんて思っていたのに全くの予想外れ。さすがドイツの靴職人魂!
シャモニーで試着した時は薄手の靴下のまんまでした。その時は足全体をふんわりと包み込むような感触に驚かされ即決したのですが、よく考えたら厚手の靴下に履き替えてから試着すべきでした。
「ただでさえ超幅広の変形足ですから厚手の靴下を履いて長時間歩いたら絶対側面を圧迫されて痛み出すよなあ。」と思い、靴紐を緩めにして足慣らししてみました。
しかしそれは完全な杞憂でした。少々抉てみても、靴幅がきつくて圧迫するなんて気配はなし。それより紐締めを緩くし過ぎたため中で足が動きます。バックルを締めずにスキーをしているような感じでスタンスに上手く乗り込めません。ビシッと決まらないというか・・・。
いやはや本当に驚かされました。これならどんな変形足の日本人にもピッタリフィットします。
同時に若い頃の事を思い出してしまいました。山を始めた頃、最初はキャラバンシューズを履いていました。紺色の化繊の布製の簡易登山靴です。藤倉ゴム自体はまだご健在ですからキャラバンシューズもまだ販売されているかもしれません。
しかしこれが全く私の足に合わない代物でして、同時に布製では冬場は使い物にならないので日本製の裏出革の山靴を買いました。キャラバンシューズよりはマシでしたがやはり足に合わず履きならすのに結構時間がかかりました。
なんとか足には馴染んだ?と思っていましたが事あるごとに足のトラブル。いい加減嫌になりもっとまともな靴を!
と言う事でまともな靴を買う事に。当時会の諸先輩方はローバのチベッタかハンスワグナーのラングコッフェルのどちらかを履いていました。そしてチベッタは堅牢さは抜群だが【足に靴を馴染ませるのではなく、靴に足を馴染ませるもの】と言われるほどガチガチに堅いものでした。そして皆が皆、「足癖の悪い人にはチベッタは無理だからラングコッフェルにしなさい。」と言います。
それでラングコッフェルにしてみたところ、それなりに堅牢ではあるものの私の足にしっくりと来ます。それまでの日本製の山靴のお粗末さに腹立たしい思いをしたものです。当時の日本製裏出革登山靴というのはすべて海外品の形を真似て作ったいわば模造品。履く人の為に、動きに合わせて足を守る為に、バランスを崩さず安全に登攀出来るように、なんて考えは一切無し。海外ブランドに似た形で安さに引かれて買ってくれれば良い。とでも思っていたのでしょうね。
大体が靴なんてヨーロッパ文化の中で育まれて来たもの。草履や下駄の文化しか無かった日本には靴作りのノウハウもなにも無かった結果でしょう。
そんな記憶が蘇り、「やっぱり靴は欧州製でないと駄目かな?」と思った次第です。
およそ半世紀前でもそれ程の差があった山靴の世界。その後の半世紀の間に日本人の足に合わせて日々弛まぬ努力を重ねて来ている訳ですから当時のものより一層私の足にも馴染むように作られていて当然です。
いや~、ほんまにビックリですわ。これ終の山靴のつもりですが、もしまた買う機会があればまたハンワグかローバかな?

おまけ。
降りで、ちょっとした事で捻挫しちゃいました。紐締めを緩くし過ぎた所為かもしれません。靴自体はそこそこ足入れが深い(ハイカットって言うのかな。)ので酷くは無くちょっと捩った程度です。次からはちゃんと締めます。
そう言えば最近の靴はハイカット品でも足を入れ易くする為に踵側が浅くなっています。足を動かす自由度を上げる為でもあるのでしょうか? 昔の靴はそんな事は無く踵から20cmくらいの高さまでありそれで足首も守られていました。梃子と同じで靴が深ければ深いほど足首は曲がり難く且つ捻挫し難くなります。細かなスタンスに立った時でも踵部分が深い方が安定します。
爪先も今の靴は歩き易さ重視なのかかなり反り上がっています。アイゼンとの間に隙間が出来ちゃいますよねえ。もう昔のような爪先が反り上がっていない靴は造らないのでしょうかねえ。

帰宅後。
外側を水洗いして土やゴミを落としました。ソールのゴムの表面も一皮剥けたようでざらついています。これでフリクションもよく効くでしょう。(朝一では濡れた石の上で滑りそうになりました。)
タイヤと同じで慣らし運転しないとゴム表面のツルツル皮が剥けないんですね。

さあ後は雪が降るまで家の中に仕舞っておきましょ。車庫内はまだ暑い日が続くんで傷みを避ける為に。
終の靴だからだいじだいじ。