呼名も生き物?

NHK BSプレミアムで【山女日記】と言うドラマを放映しています。以前にも何度か同シリーズを放映していました。ストーリーを楽しむと言うより山の景色を観る為に毎回録画しています。放送が日曜の夜で、その時間帯とはタイミングが合わないので後日暇な時に観ています。
本日昼前、雨の為月命日の墓参りを端折ったおかげで暇が出来、暇潰しに観る事に。
この年になると余程素晴らしいストーリーでもなかなか感動するには至りません。それよりしょうもない事ばかりが気になってしまいます。
前週出て来た山小屋、冷池小屋である事は解りますがドラマの中ではその名前を呼んではいませんでした。そして今回の放映では「つめたいけ」と呼んでいました。
終盤では白馬大雪渓も「はくばだいせっけい」と呼んでいました。
駅名は「はくばえき」地名の白馬町も「はくばちょう」になっていたのは知っていますが雪渓の名前もそうなってしまったのかな? もはや「しろうま」の呼名は山だけになってしまったのでしょうか?
蛇足ですが「しろうま」は苗代の代(しろ)から来ており、田植えシーズンに白馬岳に表れる雪形が馬に見える事からそれを代馬(しろうま)と呼び、いつの間にか白馬の字が当てられるようになったものです。(馬の形は雪が融けた部分なので色で言えば黒馬になります。)
経緯を知らない外部の人が漢字だけを見るとその人の呼びやすい呼び方で読んでしまうのは当然の事です。地元の10人の呼び方より外部の1000人の呼び方の方が圧倒的に大きい訳で、そうなってしまうのはいたしかたの無い事なのでしょう。
話を冷池に戻します。少なくとも半世紀前は「つべたいけ」と呼んでいました。確か山渓社の(アルパインガイド後立山連峰)でもそうルビが振られていたと思います。
「絶対におかしい。NHKともあろうものが。」と思いながらnetで調べてみると、何もかもどこもかしこも「つめたいけ」の読みになっているではありませんか。裏付けの為アルパインガイド本を探しましたが見つかりません。物に固執しない、コレクター魂皆無のtanuoさんの事ですから、どこかに四散してしまったのでしょう。
ああ、ここでも古い本来の呼名が淘汰されてしまったのか。
この日記を書いている時にローマ字入力から漢字に変換していると、「つめたいけ」と入力すると「冷た池」しか候補に挙がりません。試しに「つべたいけ」と入力すると、なんと「冷池」が候補に挙がって来たではありませんか。カナ漢字変換にはこの呼名が残っていたんですね。いや〜驚きました。そしてなんとなく嬉しくなっちゃいました。
呼名も生き物。いずれ変わって行くことは仕方の無い事ですが、本来の生い立ちは遺して行きたいものです。

ところで劇中で、帽子作りにミシンが出て来ましたが、それにはJUKIのエンブレムが。
「ミシンと言えばbrotherだろ! 」とツッコミを入れたくなりますが、電子業界にいた私、brother社の変遷も知っています。ミシンのトップメーカーでありながら私が就職した頃から既にプリンターも造っていました。もっともその頃はプリンターメーカーの雄であるセントロニクスのOEMでしたが。当時のプリンターインターフェイスはセントロニクス社仕様が標準となっており、日本では一般的に「セントロ仕様」と呼んでいました。今となっては懐かしい言葉です。(今のプリンターは無線LANが一般的で俗にエアープリンターなどと言っています。有線でもUSB接続ばかりでセントロのアンフェノールコネクタやサブミニチュアDコネクタなんて全く見かけません。ミシンに固執していたら今brotherは会社が存在していなかったかもしれません。
結婚した当初、かみさんがキャッチセールスに会いどうしようもなく相談して来たことがあります。「買えば良いじゃん。」の一言でかみさんの表情が一転。余程安心したのでしょう。その当時(半世紀前)で20数万円、流行りのコンピュータミシンでした。それがbrother製。購入後イントラのおばさんが使い方説明にわざわざ我家まで。値段が値段だけに手厚いアフターフォロー付きでした。当時虹ヶ丘団地でしたが、そのおばさんに平針住宅を紹介され手狭な所から少し広くなりました。人生、どこにどんなきっかけが待っているか解りません。brotherからとんでもない事まで思い出してしまいました。

で、山女日記の感想は? 不感症のtanuoさん、な〜んも印象に残っていません。鹿島槍の赤岩尾根、あの形が印象的でした。北峰-南峰間の雪田、あれは秋まで残り水に困らないんだよな〜。