身体の自由が利かないかみさん、握力が無いので自分で爪を切ることもできません。そこでお父さん(私の事です。)の出番です。
切って貰いながら「肉まで切られるのではないか?」と直ぐ手を引っ込めます。「切れやせんじゃないか!」
理由は、深爪になるのを気にしているようです。
今までしげしげとかみさんの手など見たことはなかったのですが、こうしてみると縦長のいかにも女性らしい爪の形です。
あれ〜? こいつ、こんな爪しとったっけ?
記憶にあるのは子供っぽい小さく丸い爪。三十数年の間にまるっきり変わってしまったようです。まるで手だけ他人と入れ替わったみたい。
爪って手入れの仕方で変わるものなのですね。
岩登りをやっていると小さな傷が絶えません。爪など伸ばしていようものならすぐ割れてしまいます。下手をすると生爪を剥がしてしまいます。そんな訳で私のような不精者でも爪だけはいつも短く切っていました。指先の肉と離れ白く見える部分は週末には必ず切っていました。まるで寿司職人並みです。私の爪が未だ丸くて小さいのはその頃の癖が続いているからでしょう。ひきかえかみさんは山から足を洗った後は深爪とも縁を切ったようです。
かみさんの爪が大人の女性らしくなったのなら、私も深爪を止めれば大人らしくなるかもしれませんね。