ピッケル

昨日の御在所通勤は久し振りに深雪ラッセル。と言っても居合わせた若い人達が殆どやってくれてロートルtanuoさんはほんのチョッピリだけでした。
山頂公園に抜けるとお昼近くという事もあり、ソリ広場で遊ぶ家族連れがいっぱい。これも久し振りに見る賑わいでした。そんな中、かなりのハイカーも見受けられます。判で押したようにビンビンに尖ったツァッケの真新しいアイゼンを履き、これも下ろしたてのような擦り傷ひとつないピッケルを誇らしげに手に携えています。山ガブームの所為だけでなく確実に若者が増えています。山屋人口が増えるのはいにしえのロートル山屋にとっても嬉しい事です。
昨日遅く(実際はもう今日の日付に変わってました。)にアップした記事には使い方も知らないまま携行している事への危惧を漏らしてしまいましたが、長く続けていけばいずれ身に着いていくものですから、そう気を揉む事もなかったかな? などと思っています。
昔聞いた会の先輩の言葉を思い出しました。冬道具など不要と思われるところに携行して行く人達を見て「あんなとこへ行くのになんであんなもの持って行くんでしょうね。」と言った私に、「そんなもん、カッコええからに決まってるじゃねえか。」
それを聞いて私にも思い当たる節があることに気付きました。私自身も冬山に憧れるようになったのはあの一見スマートではないスタイルに魅了されたからなのでした。
私が20才になる頃、日本隊がエベレスト登頂に成功しました。その後デパートなどで登頂を記念してエベレスト展などを催していました。そこで見た装備は今では考えられないほどグロテスクなものでしたが、それがへそ曲がりの私には凄く馴染み易く感じられ、少し狂った美的センスから凄くカッコ良く思えたのでした。遠征用に調達されたピッケルは当時でも最新鋭のメタルシャフトで氷に刺さり易い構造のものでしたが、私の狂ったセンスからは旧態依然としたヒッコリーシャフトのピッケルの方がカッコ良く思えたものです。あのダサい格好への憧れが私を山へのめり込ませたのだと思います。
「持っているのがカッコええから。」このミーハーな気持ちが今の若い人達にも共通して有り、それが山への門戸を開くきっかけであればおおいに結構。これが原動力となり、How toは後からいくらでも付いてきます。
山屋予備軍の若者達! カッコええ道具を持ち、どんどん山へ行きましょう。但しリスクマネージメントは忘れずに。