心の糧

3.11震災後暫く、民放各社はコマーシャル放送を自粛していました。
その時なんども繰り返し流れていたのがAC(旧 公共広告機構)の広告作品です。
その中に金子みすゞ の詩を題材にしたものがありました。「こだまでしょうか? いいえ誰でも。」のフレーズを覚えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。
学校の教科書に出てくるほど著名な作家ではありませんし、作品が子供向けの詩(童謡の歌詞)ばかりという事でさほど世の中では知られていません。文学とは門外漢の私なぞ、与謝野晶子と同年代かと思っていたほどです。どこかで見た本人の写真がポッチャリ美人で世の中に流通している写真はこの一枚きりのようです。26歳という若さでの夭逝って事もあり、写真の少なさも納得できます。
子供向けって事もあり、口語調で堅苦しい或いは難しい言葉など全く使わず日常のありふれた事を詩っており、誰にでも馴染み易い作品ばかりです。かといってその内容はけっして軽々しいものではありません。育ち盛りの子供達にとって不可欠な心の糧と言って良いものばかりです。こういった作品とふれあう機会の少なさが、今の子供達の精神的未成熟の原因になっているのではないか? とふと思った次第です。
今の子供達のお父さんお母さんたち、食べ物だけでなく心の糧も与えてやっているのでしょうか。
子供達って本能的にお父さんお母さんが喜ぶ事をしようとします。お父さんお母さんの関心事が学校の成績だけになってはいませんか? 良い成績を褒めて上げるのはかまいませんが、人として優しい行ないをした時などそれ以上に褒めて上げていますか?
子供って褒められるともっと褒められたくなりそれに努力を注ぎます。学校の学科などその時学び損ねても後からいくらでも取り返す事ができます。そんなものより幼少期にしか出来ない心の糧を得る事をもっと優先させるべきではないでしょうか。
今ACの放送によって金子みすゞ の詩が静かなブームになっているそうです。大人にとっても幼い頃の気持ちを思い起こさせてくれる、心のふるさとを思い起こさせてくれる作品です。子供達といっしょに味わってみてはいかがでしょう。


つい先日TVで金子みすゞの生涯を描いた番組が放送されたそうです。なんでもSBの白戸家の彩ちゃんが【みすゞ】役を演じたそうです。ポッチャリ系の本人とは大分イメージが違うように思われますが、どんなだったか観てみたかったですね。


余談になりますが、私、山歩きしていても草花の名前ってちっとも知りません。少々こじつけになりますが、【みすゞ】さんの【草の名】という作品を紹介します。


【草の名】


人の知ってる草の名は、
わたしはちっとも知らないの。


人の知らない草の名を、
わたしはいくつも知ってるの。


それはわたしがつけたのよ、
すきな草にはすきな名を。


人の知ってる草の名も、
どうせだれかがつけたのよ。


ほんとの名まえを知ってるのは、
空のお日さまばかりなの。


だからわたしはよんでるの、
わたしばかりでよんでるの。