お肉

国木田独歩の短編に【牛肉と馬鈴薯】(ニクとイモと読む)なんてのがあったなあ。
肉も好きには違いありませんが、どちらかと言うと私は芋派です。と言うかでんぷん質の物を大量に取り込まないと満腹感が得られず、なんとなく物足りないのです。他聞にこれは幼少期の飢餓感が災いしているものと思われます。
巷には【主食を抜けば糖尿病は良くなる】なんて本も上梓されており、これには医学的根拠もあり実際に糖質制限食により効果も上がっているそうです。
そうしてみるとこの私なんて確実に糖尿病予備軍です。
対して家のかみさんはどうも肉食系のようです。肉食女子(いや、おばはんですね。)に草食男子(これもおっさんですな。)なんて今の流行りじゃありませんか。なんと数十年前から今のトレンドを先取りしていたのですね。


前置きが長くなってしまいましたが暫く前に焼肉屋さんのチラシが入っていました。期間限定、ウイークデイ限定でいくつかのメニューが半額だとか。それを目にしたかみさんは早速予定を組みます。S司の都合も調整して一昨日3人で行ってきました。
かなりお客さんは入っていますが、店内が広い所為か待たされる事もなく席に案内されました。
席に着きメニューを見ると、全てのお肉が【塩】と【タレ】が選べるようになっています。最近はどこでもこうなっているようです。いつもの事ながらメニューはかみさんにおまかせ。店員さんに塩かタレか聞かれると全て塩を指定していました。それで珍しく私の割り込み。「××のタレをひとつ追加。」
なぜか多くの人が塩を選択しています。かみさんなど食べる時も塩胡椒だけというのが多いです。
追加オーダーの時、S司がタレを指定していました。食べ比べてタレの旨みが気に入ったようです。くどいほど味の濃いタレに漬け込むお店がありそれを嫌って塩ばかり指定していたのでしょうが、幸いここは薄味で本場風の下拵えのみ。肉本来の旨みをより引き出す調理方です。すりおろした梨の汁に漬け込むだけでも、生のままの肉より数段旨くなります。「塩だけで食べるのが最も旨く、通の食べ方だ。」なんて見当外れな情報をTV等で流すものだから、未だに本当の美味しさを知らない人が大勢いらっしゃるように思います。それに下拵えすることで廉いお肉でも充分美味しくなるのです。
そして塩党のかみさんも追加オーダーはタレばかり。おいおいどんだけ食う気なんだい。
私がホルモンなどの内臓系が苦手なものですから、うちの家族は殆ど肉ばかり。唯一S司がハツを、かみさんがレバーを頼んでいましたが。おかげでお値段も張ります。
最後はクッパと冷麺で締め。白いご飯に濃い目のタレたっぷりの肉を乗っけて掻き込む。ってのが良いのですがこの日は糖質制限しちゃいました。その所為かなんだか食い足りん。
それに肉の味自体もやはり本場韓国のものとは比べものになりません。
店を出た後で、「あ〜、韓国の焼肉が食べたい。」と言うとかみさんも「骨付きカルビを鋏で切って食べた〜い。」
S司も韓国へ行った事がありその味を知っているので、「牛の種類が違うのかな〜。」実際【韓牛】は向こうでもブランドのようです。
こんな話、お店の人に聞かれちゃ失礼ですよね。
こういったお店って韓国系の人の経営が多いようですが、その人達も日本人の口に合わせようとしての事なのか、何か物足りない味です。
韓国のお店同様のものがあっても良いのに。と思うのは私だけでしょうか。薬味、包み菜、キムチなどはサービス。なんて絶対うけますよね。


焼肉屋さんでなく韓国料理店と名乗るお店が名古屋地区でも以前に比べて増えました。40年近く前、高崎の方によく出張で出かけた事があります。当時でも彼の地では韓国料理店が沢山ありました。「この辺りは在日コリアンが多いのかな?」なんて思っていましたが、こちら名古屋でも同様に居た筈。名古屋という排他性の強い土地柄、韓国料理の看板が揚げられなかったのかもしれません。それがやっと大いなる田舎の名古屋もインターナショナル化が進んで来たって事でしょうか。
もう少し待っていれば、名古屋に居ながらにして本場韓国の味が楽しめるようになるかも知れません。
因みにこのお店の名前が【炭炭】と書いてタンタン。 今流行りのスピルバーグの映画が【タンタンの冒険】、アルファベットで表記するとTINTIN。ローマ字読みするとチンチン。そしてS司の小さいときのニックネッムがテンテン。
なんだか妙に関連深いですね〜。