お月見

「お月見ソフト、お月見ソフト。」
どうやらソフトクリームを買ってこいということのようです。
パジャマから着替えてコンビニへ。近くのサークルKではソフトクリームは扱っていません。ちょっと遠いですがミニストップへ。ベルギーチョコソフトとミックスを調達し急いで帰ります。
待ち構えていたかみさんはソフトを受取ると早速縁側へ。明かりを消し縁側で月を仰ぎながらソフトクリームを頂きます。月見団子ならぬ月見ソフトです。今風でこれもまた良し。
つい数日前は左側が少し欠けていたのに、今日はもう右側が少しぼやけています。雨情傘(右上下左:右は上弦、左は下弦)なんて言葉がすぐ頭を過ぎります。この季節月を見ると吉田拓郎の【旅の宿】が頭に浮かびます。「上弦の月だったけ、久しぶりだね〜、月見るなんて。」
あれからもう40年が過ぎてしまったのですねえ。夢と希望に燃えていた紅顔の美少年(厚顔の微少年)も既に還暦を過ぎてしまいました。
上弦だった月はもう下弦になりかけています。
すっかり涼しくなり虫の声が姦しいくらいです。
「あっちは五月蝿かったねえ。」仮住まいの家の事のようです。通りに面していたため引切り無しに車が通るのと、ご近所の話し声が夜遅くまで続いていました。それに比べてやはり我家は静かで良いです。庭も広く緑が多い為、虫の鳴き声が多少姦しくても風情があります。
「食う。」突然かみさんの声。自分のソフトを食い終わったかみさんが私の食べかけのソフトを見つめています。まるっきり子供ですなあ。食べかけをかみさんに渡し、ゴロリと縁側に寝転びます。腕枕で月を見上げると楽ちんです。あ〜、良いものですなあ、こうやって縁側でお月見するのも。
昼間の残暑からは想像出来ないくらい爽やかな秋の宵。【春宵一刻値千金】ならぬ、【秋宵一刻値千金】ですな。