国防

弱腰姿勢を見抜くや否や畳み掛けるような中国の態度。
米国が懸念していたように、これは明らかに中国政府主導の挑発、恫喝であった事が解かります。
「資源禁輸をちらつかせるだけで日本はなんでも言うことを聞く。」これが解かった以上今後ますますこのような事がエスカレートして行くでしょう。やはり中国は自分の事しか考えない身勝手な共産主義国家だったのです。そしてそれは今後も修正される事はないでしょう。
マイケル・E・ポーターさんは「日本企業に戦略は無い。」と言いましたが、日本企業だけでなく日本政府もまた戦略など持ち合わせていなかったのです。
戦後65年に亘り外国に国防を任せていたツケが今こうやって回って来たようです。
J・K・ガルブレイスさんが言っていたように、「軍備に大きな予算を回さずに経済活性化に注力する事が、どんなに国家の繁栄に寄与するかが戦後のドイツや日本で立証された。」には違いは無いのですが、やはり日本の場合には大きな副作用があったと言うべきでしょう。
やはり国防は他人任せにするものではありません。
とは言っても、なにも直ちに徴兵制を復活させろと言っている訳ではありません。むしろ今回の事が切欠となり日本全体が過激なナショナリズムに走る事を懸念しています。
国防はなにも軍備だけではありません。企業で言うリスクマネージメントで良いのです。
企業なら普通リスク回避の為に購買は二社発注するのが基本です。一社に集中していても常にリスクをモニターし続ける事が必要です。それが国家規模ではいつの間にか中国一国に過度に集中し過ぎていたのです。
2000年に亘り日本が師と仰いでいた中国、今回も貴重な事を教えてくれました。この教えをしっかり肝に銘じ付き合って行くべきです。「中国一国に頼らずに経済活動を推し進める。」と言う事を。
レアアースは中国が最大の産出国ではありますが、中国にしか無い訳ではありません。市場にしても今後の拡大は期待できますが、それとても中国以外にも大きな可能性を持った市場はいくらでもあります。
中央アジアなどはレアアースの産地として大きな可能性を持っています。中国が売らないと言うなら中国と仲の悪い中央アジア諸国から買えば良いのです。そしてそれらの国々の発展に貢献するべく社会投資もする。これが間接的に身勝手な中国を牽制する事にも繋がります。
現に米国などはこれら資源を中国一国に頼らずに済むように進めています。
経済発展の為の戦略、これが今後の日本の国防上大きなウエイトを占めます。20年前の日本の経済力なら今回のような挑発など起こりえませんでした。今疲弊した国家の制度の下、経済も停滞し今後の状況も不透明なままです。小学生並みの知能しか持ち合わせていない国が、弱っちい国をいじめてやろうと思っても不思議ではありません。まだまだ中国は礼節を知るほど衣食が足りている訳ではありません。いや、衣食足りても民主化が覚束ない中国では礼節を知る事はないでしょう。
我々日本国民はあくまでも過激なナショナリズムに走る事無く、リスクマネージメントという形で国防を進めて行くべきです。