今年は趣向を変えて板取川へ行ってきました。
やはり矢作川とは水の色が違います。こんな流れを見ていると、当に【清流の女王】という表現に納得してしまいます。じゃあ矢作川の鮎は【濁流の下僕】ですか。いかん、こんな事言ったら叱られそう。
三好ICから東名、一宮ICを過ぎてから東海北陸道へ、美濃ICを降りてから156線を通り、新美濃橋に折れ県道81号を板取川に沿って北上します。
イチコロ線(156号線:冬場事故が多く、イチコロで死んでしまうと言う意味を込めてこう呼ばれていました。)は30年以上前になりますが毎週のように通っていた事があります。丁度H高原に小屋を建てる事になりその作業の為に山はそっちのけで通っていました。いや、土曜日は御在所、日曜は蛭ヶ野と両方皆勤でした。
当時は高速道路も無く(あっても使えませんが)前夜か早朝に下道を走って行ったものです。渋滞さえ無ければ2時間半くらいで行けちゃいました。小屋が出来た後も冬場はスキーの基地として毎週金曜の夜から出かけていました。考えて見れば我々夫婦が最も多く利用していたと思います。皆さん合宿前は当然スキーは禁止で藤内通い。我々夫婦のみが公然とスキー三昧していました。
そんな訳でイチコロ線は凄く馴染み深いところなのです。美濃ICから市街地を抜けるまでのほんの短い区間ですが昔の面影が色濃く残る街並みを懐かしみながらの走行です。
「あっ、突当たりのGSが無くなっている。」
「あっ、大ワラジ(とんかつ)の看板が無くなっている。」
などと二人して素っ頓狂な声を張り上げながら行きます。
新美濃橋を渡った対岸の道は渋滞時の抜け道としてよく通った所です。橋の上から長良川を見下ろすとかなりの水量です。しかしその水の青い事。矢作川とは全く違います。「矢作川の鮎なんて泥臭くて食えん。」などとかみさんは通ぶった物言いです。
板取川に沿って行くようになるとそこらじゅうに観光簗の看板、鮎料理の看板、友釣り用おとり鮎の看板が並んでいます。そして清流の中には途切れる事なく釣り人の姿。
瀬あり渕あり沸き上がりあり。この水の清らかさならカヌーにもベストですがこれだけ釣り人が多いと無理ですね。それこそ石を投げられちゃいます。
そしていよいよ目的地。屋根の上に大きく「鮎川」と書かれているので直ぐ解かります。
ん? 昔【鮎川いずみ】なんて女優さんがいたような。TVドラマの【アタックNo.1】のヒロインも鮎川じゃなかったっけ?
時刻はジャスト12時。家から丁度1時間半。思ったほど遠くないですね。
早速川沿いの窓べりの座敷に陣取り鮎の定食をオーダー。塩焼き3尾(お好みで魚田、酢醤油に変更可)、甘露煮、フライ、刺身、小鉢、鮎雑炊、デザート(ワラビ餅)が付いて 3,500円。
Netでクーポンを印刷して行くとそこから10%OFF。
かみさんは3尾とも塩焼き、私は塩焼き、魚田、酢醤油と焼き分けて貰いました。
「ゼリーが無い。」とかみさんはちょっと不機嫌。私も食べてみますが同様に背骨周りのゼラチン質が少ないです。形自体が割りとスリムで若鮎という表現が似合っています。案外天然ものは余分な脂肪が付かずゼラチンも少ないのかもしれません。じゃあ今まで広瀬の簗で食っていたのは養殖物?
甘露煮も広瀬のものよりずっと軟らかく旨いです。あそこは客が多いからなあ。量をこなす為にはそれなりのものになってしまうのでしょう。
締めの鮎雑炊、かみさんは上機嫌です。「広瀬の鮎飯よりずっと良い。」
たらふく食って満足満足。
お勘定の時、レジに板取川温泉のチラシ。ディスカウントの入浴券を売っています。
どこにあるか聞くと、上流の方へ20分ほど行った所だそうです。じゃあ温泉券も2枚付けて貰います。
来る途中に看板が出ていた温泉は 1,500円だったのでそれよりずっとお得です。それにレジのお姉さんが「凄く良いお湯ですよ。私達もよく行きます。」と薦めてくれるものですから。
板取川を遡る事10数分、大きな温泉施設です。売店、食堂などの観光施設も併設されておりお客さんもいっぱいです。
たしかに良いお湯です。
外の露天風呂の半分ほどは大きな屋根がかけてあります。これなら雨の日でも頭が濡れません。今日のように陽射しが強い日には気持ちの良い日陰を提供してくれます。
屋根の無い部分に石組みがあり大きなカスケードが造ってあります。その石が溶岩です。どこから持ってきたのか? 
アルカリ泉なのか炭酸泉なのか、ヌルッとした肌触り。かみさんは硫黄泉が好きなのでお気に召さないかも知れません。でもこの辺りには硫黄泉なんて殆ど無いからなあ。でもこの泉質ならまあ許容範囲でしょう。
かなり大勢が入浴中です。浴槽は広いし多いしで狭さは感じませんが洗い場が少なく順番待ちになっています。今日は天気も良いし大勢の人が我々同様、鮎を味わいにまた涼を求めて繰出しているのでしょう。
湯上りにソフトクリームを頂きます。安物コーンでなくクッキーコーンに盛り付けられたソフトクリーム、久しぶりですねえ。もう何年も食べていませんでした。そして冷たいお茶で締めくくり。このペットボトル一本丸呑みが旨いんですね。
帰りは256号線に折れ郡上経由で。昔、それこそ今のように各地に温泉施設が乱立していなかった頃、スキー帰りに温泉を求めて高畑温泉に浸かる為、156号線から外れ来た事があります。一軒しかない旅館のお風呂に入れてもらったんだったっけ。
156号線に抜けても道路はガラガラ。思い出深い川沿いのイチコロ線をひた走ります。直ぐ美並村。美並ICから東海北陸道に乗ります。どこから乗っても上限1000円。ETC特割はまだ続いています。
名神合流手前で暫く渋滞しましたが、概ね順調に帰ってきました。三好IC基点だと本当に便利です。
こんなに手軽なら今後も鮎は板取川って事になりそうです。早速かみさんは「来年は子供達も連れてこよう。」付き合ってくれるかな?それが問題だ。
今日行った所意外にいろいろと鮎料理のお店があり、中には炭火焼を売りにしている所もあります。かみさんは未だに囲炉裏端に拘っているようです。「ハイハイ、来年はそこにしようね。」


そして夕方、かみさんはS司と飲みに行く予定だったそうですが、「もうそんなに食いたくない、遠くへ行くのももう面倒だ。」一日中動いていないとお腹も空かないようです。へえ、大食らいのかみさんがねえ。
結局みんなで近所の中華屋へ。お安く済んで良かった良かった。