順序が違うのでは?

消費税10%。内閣支持率の高さにうかれてかいきなりの発言。
これに対しメディア各社は好意的な論評です。でもなにか違っているような…。
誰もが嫌がる増税、それを口にする事自体は勇気の要る事で行政担当者としての責任感の現れなのでしょう。
それは認めますが、ものには順序というものがあります。財政建て直しは待ったなしの状況であることは誰にでも解かる事です。しかしその前に最も重要な事を置き忘れていやしませんかねえ、菅さん。
家計でもそうですが、収入以上に支出しようとすると借金をするしかありません。それが返済できなければ破産するのは当然の事です。
普通の家庭では収入を増やすなんてそう簡単な事ではありません。ですから収入に見合った支出となるように生活を切り詰めます。末っ子だけが可愛いからといってその子だけにお小遣いを与えるなんて馬鹿な事はしません。それも家計が破綻するほどの高額のお小遣いなんて。
ただ例外もあります。その子がとてもお悧巧さんで進学を望んでおり、卒業後は高額な所得が約束されており、貧しい家計に寄与してくれる事が解かっているのならそれも有り得るでしょう。但しこの場合は遊興費にまわってしまうようなお小遣いではなく、教育費である事が必須です。
いずれにしても支出は収入に合わせて決めるものです。「これだけ遣いたいから給料を今の倍にしろ。」なんて言える訳がありません。
今の菅さんの言葉は当にこう言っているのと同じです。
こんな事をやっていたらキリがありません。破綻を防ぐにはまず出口を押さえるのが常道です。
「収入に合わせる為、支出をまずそれに見合う額にします。その為には末っ子のお小遣い(子供手当て)は無くします。経費として消えて行くものも切り詰めます。(公務員削減、地方交付税削減など)それでも今現在これだけの借金がありそれを返済すれば無駄な金利負担が減ります。借金返済後の余剰収入は倒壊しかけの我家の修繕に充てます。(年金、医療保険などの行き詰まった各制度の建て直し)その為にはこれだけの収入増が必要です。」
こう訴えるのが常識を備えた人のやりかただと思うのですが。
まさに「ブルータス(菅さん)お前もか!」の心境です。隠れファンだった私を失望させないで欲しいです。
日本国民誰だって今のままで済む訳が無い事くらい解かっています。消費税10%も妥当なところだろうという事くらい心の中では皆納得しています。しかし出口を押さえずいくら収入を増やしてもバケツに水は貯まりません。入れる量を増やす端から穴も広がり漏れだす水が増えるだけです。
イギリスではキャメロン首相が就任早々、緊縮財政建て直しの為に国民に痛みを要請していますが、同時に出来る限りの歳出削減を決定しています。歳出削減で賄えない分を国民にお願いしているのです。
比べて菅さん、やはり「ブルータスお前もか!」ですねえ。

でもひとつ良い事もありました。法人税率の低減です。およそ日本ほど法人税率の高い国はありません。まるで「会社など無くて良い。経済活動などするな。」と言っているようなものです。
こんな状況では日本企業は海外とまともに戦ってなぞいけません。力のある企業はどんどん海外に逃げ出して行くでしょう。それが法人税率の低減で踏み止まり且つ競争力強化に繋がるのなら良い事です。これが結果的に法人税額の増加、従業員の所得の増加とその所得税額の増加、それが消費の増加と消費税額の増加と繋がり、しいては歳入の増加に繋がる訳ですから。

これら全て、麻生さんが言っていた事の焼き直しっていうのがちょっと残念なところです。そんなことならあの時自民・民主の連合で進めれば良かったではないですか。