暫く前の事ですが、肉食系○○、草食系○○って言葉が流行っていました。
くだらない話には違いないのですが「メンタリティーとの間に全く相関関係が無いか?」と問われると、「絶対に無い。」とは私には言い切れません。
特に日本のお家芸のような【本番での弱さ】は、今開催中のオリンピックに限らずいろんなところで見受けられます。
たとえば女子のフィギュアスケート。少し前の話ですが○ム・○ナ選手が「練習中に日本選手から妨害を受けた。」と言って問題になった事があります。詳細は私にも解かりませんが、お人好しの日本人選手が故意に妨害したとは思えません。偶発的にそうなったとしても日本人なら善意に解釈して騒ぎ立てたりしません。
あきらかにライバルへの挑発とプレッシャーをかけてきたものです。それに対しお人好しの日本人選手達は「なにか悪い事をしでかしてしまったのではないか?」と気を揉み、集中できなくなってしまいます。またそれを後々まで引きずり、顔を合わせる度に引け目を感じいろんな面で遠慮してしまいます。
別に○ム・○ナ選手に悪意が有ったとは言いません。これはもう文化の違いです。生まれ育った環境が全く違うのです。韓国人と日本人はよく似たメンタリティーを持っています。しかし常に周りとの小競り合いで鍛えられてきた人達と、なにもかもことなかれ主義で波風を立てないよう躾けられてきた人達の違いがこういったところではっきりと現れてきます。
戦前の貧しい時代ならハングリーにもなれたでしょうが、豊かになりすぎた日本では無理です。国からの援助などなくても、親の甲斐性で幼い頃からずっとスケートなどのお稽古事が続けられる環境で育った人達に、闘争心など養える訳がありません。その豊かな環境の他に、もうひとつ影響しているのが冒頭の肉食系と草食系の違いではないか? と私は思っています。
非常に近いメンタリティーには違いないのですが、韓国には昔から肉食の文化があります。比べて日本はと言うと、中世以降肉食の習慣が消滅し明治維新になってやっと解禁されたばかりです。それも普段の食卓に現れるようになったのは戦後の復興期からの事です。正味でいうと肉食できるようになってまだ50年くらいしか経っていないのです。
いくら技術を研いてもお嬢様育ちの日本人選手には金は無理でしょうねえ。もっと他に研くものがあるでしょ。そう先ずは心です。闘争心です。
話題を変えてトヨタの豊田章男社長が米国の下院公聴会に呼びつけられ尋問に近い追求を受けました。草食系お坊ちゃん社長に上手く対応できるか心配でした。
これは昔テレビの西部劇でよく見たリンチそのものです。如何に選挙の為とは言え議員ひとりひとりがスタンドプレイの虜になっています。一緒になって騒ぎ立てていた米国マスメディアが少し冷静さを取り戻しつつあるのがせめてもの救いですが。
本来アメリカという国はもっと大らかで人情味のある国でした。車の不具合で死者がでるような事故が起こっても自国のビッグスリーの社長を公聴会に呼び出した事などありません。何年か前のフォードエクスプローラのタイヤバーストによる死亡事故の多発でもこんなことはしていません。トヨタのリコールが遅かったなどと言っていますがそれはこれを正当化する為の言い訳です。現にフォードはリコールを渋り続け、原因が不明であるにも拘らずタイヤのリコールを早々と決めたのはブリジストン傘下のファイアストーンです。結局フォードの推奨するタイヤの空気圧が低すぎた事が原因と判明した訳ですが、こんなフォードに対してもこんな仕打ちはしていません。
では一体何故?
アメリカの苛立ちのようなものを感じます。なにもかも自信をなくしてしまい何かにあたらずにはいられないような。20世紀はアメリカの時代でした。イギリスから独立はしたものの欧州諸国からは常に格下にみられ、これといった産業もなく労働力は奴隷頼り。そんなアメリカでしたが世界で始めて労働を科学したF・W・テイラーのおかげで、工業や農業の生産性がドラスティックに向上し世界の工場としての地位を占めるようになりました。第二次大戦中から戦後にかけて世界の中での覇権もイギリスからアメリカに移りアメリカの人達にとってこんなに誇らしい時代はなかったことでしょう。それが戦後何十年か経つと敗戦の焦土から這い上がってきた日本に製造業のお株を奪われてしまいました。このころはジャパンバッシングが横行していた時代です。その後は金融工学を駆使し金融による付加価値で国家を繁栄に導いていったのですが、一昨年以降の金融バブルの崩壊以降これといった成長路線が未だ見つけられずにいます。「チェンジ」をスローガンにオバマ氏が大統領に就任しますが、大きな期待が失望に変わりつつあります。その後日本で誕生した民主党政権は政府間の約束事を反故にし、安全保障上の大きな穴を開けています。
こんな時に起こったトヨタ車絡みの事故。何でもよいからスケープゴートが欲しかったのですから渡りに舟。
こんな状況ですから【未必の故意】が働いてもおかしくありません。
普通なら議会に対し「バカな事するな。」というところを「しらんぷりしていよう。」とアメリカ政府も思ったのでしょう。
いずれにしても草食系の我々が肉食系の人達に訴えかけ続けるというのはしんどい事です。