師走

いよいよ12月。いや既に今日は2日でした。
11月の声を聞くと猫も杓子もアイゼンワーク。それまでのビブラムの静かな足音から、急に藤内中がガチャガチャギーギーと騒がしくなったものです。
名古屋の山岳会に限らず関東方面の山岳会でも、11月3日の文化の日に絡めて富士山での雪上訓練が一般化していたように思います。
それ以外では大体11月中は藤内でアイゼンワークのお稽古、そして12月に入ると冬合宿に向けて近場で雪の有る所へトレーニングを兼ねて出かけたものです。日帰りかせいぜい一泊くらいなので、恵那山、ロープウェイで中央、御岳、といったところでしょうか。その後も合宿までは藤内でお稽古、というパターンでした。
ビブラムからアイゼンに変わると下駄を履いているような感じで足下が不安定になります。新人などはその所為かよくザイルを踏んでしまい、その度に先輩から叱られていました。
昔は「命を預けるものなのでアイゼンで傷付けると事故に繋がる。」と考えられており、新人でなくても特に神経を使ったものです。
しかしどこかで目にしたのですが、実際には余程狙い済ませて踏まない限りザイルがツァッケから自然に逃げて切れるほどには刺さらないそうです。じゃあ、昔のあの気の使いようは全くの無駄だったのでしょうか?
ツァッケも履いていれば直ぐまん丸になってしまいます。それが普通と思っており、本番前に研ぐ事はあっても切れるほどトキントキンにする事はありません。比べて今の人達ってまるで針の先のように尖らせています。そんな事したってほんの少し岩場を歩くだけで直ぐまん丸になってしまいます。ものの加減がお解かりでは無いように思います。
そのトキントキンのツァッケで引っ掛けられるとザイルの外皮が破れます。返ってこの方が危険ではないかと思います。
大昔の撚りザイルと違い今は編みザイル一色です。この構造は皆さんご存知と思いますが心材は細いナイロン繊維が束になって縦に通っているだけです。それを包むように斜めに編まれた筒状の外皮が被せてあるだけです。引っ張られ延びるとこの外皮が細く締まり心材を締め付けます。これが心材の強度を保っているそうです。(昔人から聞いたことなので真偽はよく解かりません)
この外皮が破けてしまうと心材を締め付ける事もできませんし、岩角などから保護する事もできません。
どうせすぐまん丸になるものなら最初から控えめに研いでおく方が減りも少なくて良いように思うのは【まるビ】のtanuoさんだからでしょうか。
そうしておけば安心してザイルを踏む事ができます。???なアホな。
足が与太ってつい踏んでしまうのは仕方ないですが、見えていながら無頓着に踏む人がいます。これはもう心の問題ですね。大事なものと思えば自然に扱いも丁寧になります。
家の敷居を踏まずに跨ぐ人もいれば、平気で他人の家の敷居を踏む人もいます。全て親の躾が為せる業ですね。