景気、良くないですね。
とは言え敗戦直後(私はまだ生まれていませんが)とは比べ物にならないほど豊かな生活を皆がしています。
そして世界中を見回しても、ずっと恵まれた生活をしています。だから我慢しようと言っている訳ではありません。より良い生活を求めるのはごくあたりまえの事です。そしてこれは国家のリーダーだけに任せっ放しにするものではなく、我々国民ひとりひとりが考え、選挙を通じ政治家を動かす事によって為される問題だと思います。ただ、具体的に国民が政府に注文をつけるのはなかなか難しい点ではありますが。
日本は少資源国です。天然資源を掘り出すだけでぼろ儲けができる恵まれた国土ではありません。
そんな中でも明治維新の先人達は【富国強兵】をスローガンにさまざまな手立てを講じてきました。そのひとつが義務教育です。
台湾、韓国などは戦後日本から独立した後、経済、文化ともに驚異的な成長を実現しています。台湾へ行った時に現地の人から聞いた話ですが、「この発展は日本の統治下にあった時の義務教育のおかげ」との事です。
国民全てが教育を受ける事で知的レベルが底上げされ、全ての産業の生産性が上がり、新たなイノベーションによりドラスティックに付加価値を高める。という結果につながったものです。
そして今世界中の途上国も教育制度の充実に努めています。
こんな状況の中我が国はどんなかと言いますと、相変わらず明治維新のままと言っても過言ではないように思えます。いやそれどころか教育の荒廃がどんどん進んでいます。
学生達の学力レベルが世界一と言われているフィンランドでは、「落ちこぼれが出る事は教育制度そのものに問題が有る。」と見ているようで、国を挙げて常に教育制度変革に励んでいます。いちど作り上げたからといってそれがいつまでも最善である訳ではなく、常に試行錯誤を繰り返しています。その成果は常にモニターされ、担当者それぞれがその成果に責任を持つ事で立ち止まる事無く変革が続けられています。それが結果として学力世界一に繋がっている訳です。
日本はというと、およそ百数十年前に制定された教育制度を後生大事に引き継いだままです。結果に責任なぞ持つ事の無い官僚システム、失敗さえ無ければ成果ゼロでも年と共に給与が上がってゆく給与システム、これでは変革を進めようというインセンティブなぞどこにも見出せません。このシステムが日本の最大の欠陥であり教育制度のみならず全ての行政において負のインセンティブとなっています。
俗に、【人、もの、金】とよく言われますが、英語では 人材=ヒューマンリソース と言いリソースとは資源(もの)を指します。
少資源国のこの日本、ヒューマンリソースにおいては他の多くの国では及ばない程の資源を持っているのです。これを無駄にしない手はありません。そしてこの資源を増やすことができる多くの出産適齢期の女性もいるのです。安心して子育てができる環境を用意することで、この資源はもっと増やす事ができます。そしてこの資源の質を向上させるのが教育制度です。
先進国の中で出産率最低の日本、自らの手で自らの資源をドブに捨てているようなものです。
資源が無いなら人的資源の質、量を向上させ、より多くの付加価値を生み出す。これが140年前の明治維新に我が国の指導者達が考え出した方法です。「産めよ増やせよ」とともにその質の底上げの為に行った義務教育制度。今はこの先人達に倣い、出産率向上の手立てと尚一層の教育制度改革に力を注ぐ時のように思います。日々の暮らしに消えてゆくようなものに予算を充てる時ではありません。そこで膨れ上がった赤字は我々の子孫が負担する事になるのです。そんな状況ではとても新たなヒューマンリソース創出の為の予算など捻出できません。