トニー・ザイラー

今朝の朝刊にトニー・ザイラーが亡くなったとの記事。
スポーツ欄の最後尾には彼の実績紹介と猪谷千春氏の談話。三面記事の方にも死去の記事。同日の朝刊に二ヶ所に亘りその記事が掲載されるというのも異例の事です。
圧倒的な強さで史上初の三冠を手にし、その後は映画にも出演。オーストリアスキーの底辺の広さとその頂点の高さを世界中に知らしめたのです。今でこそ他の国々もレベルを上げてきましたが、当時はオーストリア、フランスがやはり突出していました。
今では誰もが知っているウェーデルンもオーストリアが初めて世界中に披露したものです。
スキーの道具も近代になり著しく扱い易い高機能なものに進化しましたが、当時の板など並みの人間には履きこなせない代物でした。ずっと後になってキリーが史上二人目の三冠を制していますが、それまで誰も達成していません。そしてキリー以後も誰もいません。
私が初めてザイラーの名前を耳にしたのは小学低学年の頃。スキーというものの存在を知ったのもそれに併せてでした。当時極貧の中、糊口を凌ぐのがやっとの我家からすると全くの異次元の世界。ただ世の中にはそんな世界もある。という知識を得た程度の事でした。
ただこの時の印象と後に上映された映画「白銀は招くよ」への憧れが強く、それが後年我家をスキーにのめり込ませた要因になっていると思っています。
談話を寄せていた猪谷千春氏、日本人で初の冬季五輪メダリストですが、氏も同大会でメダルを手にしたのです。そして乗鞍岳へ行く度に素通りしていた猪谷スキー場は氏が作ったスキー場です。こうしてみると結構身近なところでいろんなものが繋がっているように思います。


ザイラーの故国オーストリア、嘗てはヨーロッパを二分する王家のひとつハプスブルグ家の帝国として広大な領地を誇っていたのですが、第一次大戦の敗北からハンガリーを分割、ナチスドイツへの併合、第二次大戦の敗北により更なる分割を経て国土も人口も小さなものになってしまいました。人口は現在でも8百万人強で東京都の2/3程度でしかありません。
たとえ小国であっても、文化にスポーツにまた政治上においても国際社会の一員として堂々と渡り合っています。
人口が少ないからこそひとりひとりがその役割を果たしている結果がこうなって現れているのだと思います。人口にしてその15倍もあるこの日本、はたしてどれだけの事を国際社会に向かってしているのでしょう。
大半が物陰に隠れ無責任な事しか言わない人達。これで民主主義国家ねえ、ふ〜ん。どこかの政党が政権を取る為に無責任な公約を謳っているようですが、その人達からその原資が出る訳ではありません。最終的には国民ひとりひとりが負担するのです。
今現在500兆円超えの借金。それをまた増やすのも新たな産業育成などの財政発動なら解かりますが、ただ日々の生活に消え行くものに使われてはねえ。アイスランドのようにデフォルト!なんて事にならなきゃよいのですが。


嘗てアルペン競技が突出して強かったオーストリアとフランス。
オーストリア:ハプスブルグ家
フランス;ブルボン家
えっ、アルペン競技ってハプスブルグ家とブルボン家の代理戦争だったのか。因縁って面白いですね〜。
でも武力衝突と違ってスポーツで代理戦争なんて粋じゃありませんか。