アンビバレント

お国柄の違いか欧州と日本ではものの考え方が大きく違う所がある。
まず戦争感。第二次大戦中の事だが、日本ではこの戦争しか頭になく今間にあわなければ先の事なぞ眼中になかった。反してドイツでは次回(第三次大戦)も想定していた。
島国で外国との接触が殆ど無い国と、陸続きで他国と国境が接しており常に緊張を強いられている国との違いが如実に現れている。
次に景況感。世界的な景気低迷に突入してしまった今、日本では不景気は天災と考える人が殆ど。反してサブプライム問題を引き起こした当の米国では人災と考えているそうだ。好況、インフレが人が起こしたものならその反動の不況、デフレは過度の経済活動がもたらしたもの。いずれ在庫調整が進めば景気は好転する。…しごく当たり前の論理だ。この辺りのマインドの違いから経済の好転は日本より米国の方がずっと早いと考えている人が多い。また日本の場合はそれをリードする政府が無能な為、尚一層遅れそうでもある。これなど全くの人災である。
たった12,000円/人の給付金ぐらいでもめている事自体がその無能ぶりを如実に語っている。無駄だと言う意見もあるが、決まったのなら即実行、スピードが最優先なのである。景気刺激策と言うには余りにも少額であり、第二第三の打つ手が必要であり、その方法として大型減税や欧州が実施している消費税率の引き下げを行えば良い。
いずれにせよ一刻も早く実施する事が大事で遅れれば遅れるほど傷は大きくなるのである。
バブル崩壊後の財政発動と、その後の余りにも早すぎた引き締めにより上向きかけた景気の失速は、日本国民自らが身を持って体験してきた事である。さすがバーナンキさんなどはそのおバカな日本を反面教師としてしっかり学んでいる。欧州各国も同様、日本を反面教師としている事を公言している。
それに続いて新たな産業創生に向けての投資を行えば良い。
今は財政赤字覚悟でお金を遣う時。というのが全世界の指導者共通の考えである。
そんな中、反対意見もある。国の財政も家庭と同様で堅実が第一。今の浪費(と言って良いかどうか解かりませんが)のつけを子孫に負わせるとは以ての外だ。という意見。
至極当然の事ではあるが、今現在職にあぶれている人もいる訳で単純に浪費とは言いきれない。ただこういう意見も真実であることを全ての人が念頭に入れている事が必要である。
世の中、ひとつの事だけが真実でそれ以外は嘘だ、なんてことは何一つとして無いのである。
こうしてみるとアンビバレントというよりコンプリメンタリーと言う方が正しいのかもしれない。


日本で財政発動推進派というとリチャード・クー氏が挙げられる。いや推進派というよりも「この場合ならこうだ。」と条件から事務的に答が導き出されてしまうのかもしれない。それだけ経験豊かって事なのだろうか。
景気刺激最優先の声ばかりの中で最近はあまり目立たないが、堅実派としては水谷研治氏が思い浮かぶ。
リチャード・クーさんは子供の頃神戸で育っており同じく神戸育ちの私としても何となく近しく感じられる。
水谷研治氏は元東海総研社長で、コンサルを受けていた者として近しいものを感じる。(いずれも私の思い込みだけですが。)
そういえば米国でもレーガノミクス全盛期に異を唱えていた人がいる。手元にある【豊かな国への選択】の著者、ピーター・ピータースンである。行き過ぎとも思える補助金規制撤廃、経済刺激策。双子の赤字は膨れ上がる一方でそれを危惧していたのであるが、やがてその効果が現れ米国に空前の好景気がもたらされたのが民主党クリントン政権の時というのが皮肉である。(レーガン共和党)その時財政赤字は解消されている。(貿易赤字はUSDが基軸通貨である事から赤字自体あまり意味を為さない。)
一概に正否は問えないが常に相対する意見を念頭に置いておきたいものである。


ちょっと余談
ピータースンなんて名前が出たので…。
童話で有名なアンデルセン、おしりについたセンは英語のSON。【アンデルさんの息子】とでも言えばよいのか。
結構こういった姓は多い。前出のピータースンのスン或いはソンも同様。
昔、ローズガーデンを歌っていた【リン・アンダースン】はアンダーさんの息子のリンちゃん。女の子なのに息子はねえだろ。ちょっと可哀想。
因みにソフトバンク社長のソンさんは息子でなくマゴ(孫)です。ちょっと脱線?