RESET

ゲームの世界は便利だ。都合が悪くなればリセットして最初からまた始められる。

Big3のワシントン詣でが活発だ。前回は3社のCEO全員が自家用ジェットでワシントンに乗りつけ議員連の顰蹙を買った。「報酬を年間1USDにしたら?」と言われても難色を示していた。
アイアコッカクライスラーの経営危機の時、実際に年俸1USDにしている。それを見倣えと言いたかったのだろう。)
前回の反省から3社とも車でデトロイトからワシントンまで800kmの距離を10時間もかけてくるそうだ。そしてCEOの報酬も本当に1USDにするとか。
受け取る報酬も日本とは桁違いだが、いざとなるとただ働きも辞さないこの両極端さがいかにもアメリカらしい。
年俸1USDというとスティーブ・ジョブスも再建後のアップルから1USDしか受け取っていない。お金に困っていないアメリカ人はいかにも鷹揚なアメリカンである。

これだけ懸命に公的資金注入を要請しても、このままではその回収は危ういものである。
硬直したUAW、退職者へのレガシーコスト、従業員医療費の負担、と高コスト体質のオンパレードである。現状のものを改革するよりいっそ潰してしまいゼロから始める方がずっと楽なのではないだろうか。存続する限りUAWとの関係は続き大量レイオフは不可能だ。存続する限りレガシーコストはゼロにはならない。存続する限り現在の高コスト体質は無くなる事はない。
Big3に今最も必要なのは、ゲーム機のリセット釦である。リセットしない限り新たなイノベーションは起こりようが無い。