打ち出の小槌

暫く緊縮財政が続いていた。
と言っても私個人のお小遣いの事である。
かみさんの誕生祝で仏料理を食べにいったのと、身体の12ヶ月点検、その他細かな【ものいり】が重なりへそくり口座は目減りする一方。
なにかの時に漏らした「金が無い。」の一言を覚えていたのだろうか…。
給料日の後いつも私専用の引き出しに、毎月の小遣いと定期券代を封筒に入れて仕舞っておいてくれるのだが、いつもより2枚多く入れてくれていた。
今月は「入れておいたよ。」の次に「見た?」の一言があった。
「うん、見た。Thank you!」
いつぞや記した今風の奥方と違い、いつも私が困らないように気を配ってくれている。まるでいつも打ち出の小槌が控えているようなもの。
私ゃ本当に幸せ者。今の若いお父さん方は大変だなあ。高学歴で多少美人の奥方でも旦那に気を配ってやれないEQ不足ではねえ。おまけにプライドもとてつもなく高いとくりゃ、もうどうしようもありませんわなあ。
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