明るい話

どうも最近は暗い話ばかりで気分的にも落ち込んでしまう。
そんな中、先日明るいニューズが目に留まった。似たようなものをその前にもTVで目にしたが、TVの方は要点がはっきりせずただその恩恵のみに焦点が当てられているだけでそれに付随した最も重要な事が抜け落ちていた。その所為であまり印象には残らなかった。視覚に訴えるというインパクトに溺れ、どうもTV番組の製作者は表現がお粗末である。
本題に戻すと、これはアフリカでの蚊帳の普及の話である。
ご存知のとおり、この地域では蚊が媒介するマラリアの罹患により多くの幼い命が失われている。貧困と医療の遅れも問題だが、ここに日本の伝統的な防護法、蚊帳が絶大な威力を発揮しているそうだ。
殺虫剤など化学薬品を慢性的に使わずとも物理的に蚊を寄せ付けないだけで充分その効果は発揮できる。そして耐用年数も長く現地の人々にはこの経済性も大切な事だ。
提供しているのは住友化学。そしてその住友化学もそこで儲けようとは考えておらず専ら【社会貢献が目的】との立場を取っている。それに対してその購入先の国際機関では「適正な利潤は確保して欲しい。」と言っているそうだ。理由は、その事業を継続可能とする為。最近流行りのサスティナブル(継続可能である事)がここでも言われているのである。ここでも経済合理性がなければ何事も成り立たない事がわかる。
住友化学ではここで上げた利益は学校建設などの形で再度地域に還元している。加えてその蚊帳を作る為の工場が地元に大きな雇用を生み出している。
蚊帳によるマラリア予防という直接的な効果の他に、その利益による学校建設などの地元への還元、地域の雇用創出、と一石三鳥なのである。
現在サハラ以南の地域で行っているこの事業は他地域からの誘致を受けているそうだ。
何事もハイテク流行りの現在において、蚊帳というローテクながら絶大な効果を上げ、地域の人々に貢献しているって素晴らしいじゃありませんか。
文字のニューズではこのように重要な要点を的確に発しているのに、TV番組では重要なことが全く説明されていない。ああ、やはりTVは消えてゆく運命にあるのかもしれませんね。
昔TVの功罪として【一億総白痴化】なんて言われていましたが、最も白痴化が進んだのは番組製作者のようです。