Soft Bankが携帯電話に進出して早や4年。
繋がり難いとか言われているようだが、価格破壊のパイオニアでもあり確実にシェアを伸ばしている。
ADSLが低価格に落ち着いたのも、携帯TELのランニングコストが今の横並び低価格に落ち着いたのも全て孫さんのおかげである。
(家は私を除いて家族全員AUだが、昔に比べ格段に廉くなっている。…私だけ携帯TELを持たせて貰っていない。可哀想な親爺!)
そのSoft BankのTVCM。いつも楽しませて貰っている。そう、お父さんが白い柴犬のCMだ。
お父さんもさることながら、お兄ちゃんがアフロアメリカンなのも笑ってしまう。そのおとぼけぶりがまた愛嬌たっぷりである。ついこの前のシリーズでは喋るお父さん犬が出ていて、「あっ、あれ欲しい。」とおもわず口に出てしまった。
そして最新版では、お父さんがフランス語を話している。お母さんが言うにはソルボンヌに留学していたのだとか。フランスで最も有名な名門校である。それを「昔の話だ。」と一蹴するお父さんの謙虚な事。思わず大笑いしてしまった。
それでつい孫さんを連想してしまった。この人も謙虚な人である。私より年下ではあるが私が尊敬している人のひとりである。
以前ニュースステーションで久米宏氏のインタビューを受けているのを目にした事がある。その時に久米さんが漏らした裏話。なんと出演前日に久米さんに何を着てくるかTELで問いかけていたそうだ。スーツにするのかラフな格好にするのか?相手に合わせ少しでも違和感のないように気配りをしていたのである。
このひととなりは在日韓国人である事、米国留学から米国流の気配りを身に付けた事から来ているのだろう。幼少期はまだ戦後の名残りが色濃く残っていた頃である。Korianを差別したり馬鹿にしたりはごくあたりまえの頃であった。その閉塞感から高校を中退し渡米、その後カリフォルニア大、バークレー校を卒業している。サンフランシスコからベイブリッジで対岸に渡った所にあるバークレー校は、幾多の著名人を輩出している超有名校である。言葉は悪いが、本当に怪物のように頭の良い連中が溢れ返っている大学である。一昔前、一世を風靡したUNIXのBSD版はこのバークレー校で開発されたものだし、アナログ回路のシミュレータSPICEもここで開発されたものである。ソフトウエアだけでなく哲学、思想においても世界中に多大な影響を与え、かのヒッピーも起源はここバークレー校なのである。
話が逸れてしまったが孫正義はその怪物の一員なのである。大学時代に取得した特許を元に帰国後ソフトバンクを起こし現在に至っているが、基本的なビジネス姿勢は一貫して変わっていない。それは「適性な価格で最大限のサービス(利便性)を提供する。」という事。ソフトバンクが参入しなければADSLも電話代も高いままだった事だろう。
戦後、夢を売る事でソニーは大きく伸びた。が、創業者の井深さんが亡くなり、盛田さんが亡くなった後、業績も低迷を続けている。アップルがiPod iPhoneを立て続けにヒットさせているのに対して、「なぜソニーに出来なかったのか。」という声が上がっている。トランジスタラジオ、トリニトロン、VCM、3.5インチフロッピー、ウォークマンで世界中を席巻した企業なのである。井深さん、盛田さんが持っていた「遊び心:人々の心のときめき を提供する。」という事が出来なくなってしまったような気がする。結局その心はスティーブ・ジョブスに引き継がれてしまったのだろう。
今、最も人々から望まれているもの。そのヒントが白い柴犬のお父さんのCMに隠されているような気がする。