古き善き文化

なにかにつけてボヤキばかりが目立つtanuoさんですが、今日は朝から心がとても爽やかです。
かみさんの早出に合わせ、いつもより早く駅に着きました。
ホームへ上がると人の声。通勤用鞄を肩に掛け、ゴミ袋を手にした初老のおじさんがゴミを回収しています。誰かに話しかけられその返答でした。
身なりから駅の職員でない事は解ります。それにこの駅はかなり前に、自動改札導入とともに無人駅になっています。一利用者であるおじさんが駅の汚れを見かねて自発的に掃除してくれているのです。
「学生さんが多いからね。学校へも電話したんだけど『そんな事言ってたら生徒が来なくなってしまう。』って言われましたよ。そんな問題じゃなくてモラルの問題だと思いますがねえ。」
ここでまたtanuoさんの心の中のボヤキが始まります。


いくら躾は親の責任といえども、それすら出来ていないガキどもを預かっているのだから注意くらいしても良かろう。言って聞かない馬鹿は体罰も含めなんらかのペナルティーは科すべきだ。 etc. etc. ・・・長くなるので止めておきます。


暫くすると反対側のホームに現れ、またゴミを片付けています。飲み物の缶やペットボトル、お菓子の空き箱などがあちこちに放置されており、ほうきと塵取りも持っていますが直接手で袋に入れる物の方が多いようです。空缶などは転がっているというより、ベンチの上や下に立てて置いてあります。多少後ろめたい気持ちで置いて行った気配に、全くのモラルの欠如で無いように思い少しは気が和みます。
このおじさん、通勤前に早めに来て暫くの間構内の掃除をしてくれているようです。
凶悪犯罪が増え利己的な人が増えた中でも、こういった方が人知れず世の中を下支えしてくれているのです。
嘗てこの国にはこういった文化がいたるところに見られました。子供達も近所の小父さん小母さん達の優しいお節介に接しながら育っていました。
今海外では、中でも特に治安の悪い地域では町の美化に努めているそうです。ゴミを拾う、落書きを消す、因果関係は解りませんがこういった事で著しく犯罪が減り、警察を増強するより低コストで治安が安定するそうです。また町の要所要所にポリスボックスを増やし、市民との交流を増やす事でより一層犯罪が低減しているそうです。このポリスボックス、向こうでもKoban(交番)と呼ばれています。明らかに日本の交番を真似たものです。
永きに亘り継承されてきた日本の古き善き文化が、今急速に失われつつありますが、このおじさんのような人がいる限りまだまだ捨てたものではありません。私もお手伝いしたいですね。(起きられるかな? 冷や汗タラッ。)