後ろ向き

歳を重ねるにつれ昔を振り返る事が多くなった。
若い人を相手に昔の自慢話をする訳ではない。いや本人が気付かないだけで、知らず知らずの内にそうなっているかも知れない。いかん、慎まねば。
そんな事ではなく、あれはいつだっただろう? これはどうだっただろう? と思う事が多くなった。 
いずれにしても過去を振り返る事自体が、姿勢が後ろ向きになっている証拠なのだが。
それを認めた上で、それでもその時々の関連を確かめる為にエクセルで表が作ってある。西暦、和暦(元号)、自分の年齢、かみさんの年齢、そして子供達の年齢と学年。これを1ヶ月毎に並べてある。子供が中一の時の7月は自分は何歳でかみさんは何歳、西暦何年で平成何年かが一目で解かる。下手な計算なぞしなくて済む。謂わば年齢西暦変換テーブルである。
それを見ていると面白い事に気付いたりして結構楽しいのである。
今ではすっかり様変わりしてしまった子供の顔が年齢毎に幼さが甦り、高校時代の顔、中学時代の顔、小学校、幼稚園とその時々を思い起こし、そして象徴的な出来事も思い出されるのである。つい含み笑いをしてしまうがこんな所を人に見られたら、「いよいよおつむに来たか。」と思われるに違いない。

子供が幼い頃にもちょくちょく連れ出してはいたが、今のように毎週歩くようになったのは上の子が中三になってからである。
テーブルを参照すると1997年であり既に10年を越えている。「今年は受験に専念したいからスキーはやらない。」と子供が宣言してからである。遊び相手を失ったおっさんは暇を持て余し、また当時今の体重より10kg程超過していた事もあり「御在所通いでもするか。」となったのである。
そして通い始めのしんどかったこと。そりゃそうです。気付かない内に空身でも10kgの荷物を担いでいたのと同じなのだから。
毎週適度の汗を流している内に元の標準体重に戻り今に至っている。それでも1年くらいは要したのかな。
その頃は身体が軽くなってゆくのが楽しく、目標管理を楽しんでいたのかもしれない。
またその頃は通い慣れた所に足が向き、蒼滝トンネル駐車場に駐車し裏道起点であちこちへというパターンだった。昔の仲間と出くわさない事を祈りながらのHikingだった。尤もこの歳までやっている連中なぞ誰もいなかったが。
そうこうしている内にスカイラインが無料化され料金所跡に停めるのが常となった。
この頃には体重も元に戻っており、何の目標もなくただ惰性で通っているだけとなっていた。それが延々現在まで至っているのである。若い頃のようにステップアップを目標とし日々鍛錬を旨としていたのとは全く異なりただただ惰性に流されているだけである。ADSL開通から毎週の記録(と言うほどのものでは無いが)をアップする事でボケ予防も兼ねるようになったが、当時から何の進歩も無い。全くお粗末な限りである。正真正銘暇人の暇つぶしそのものである。偶には違った所へ出かけてみようという気すら起こらない。我ながら呆れてしまうくらいである。
変わった事をしてみよう。日常生活の中でも可能な冒険をしてみよう。と言うのはやはり攻めの姿勢である。引き換えこの10年の私は守りの姿勢である。Net上の各サイトの皆さんは全て攻めの姿勢でいらっしゃる。なのに私は…と思うと恥ずかしくて仕方が無い。いつからこんな後ろ向き人間になってしまったのだろう。
そうは思うが無駄金使って遠くへ行くのも憚られる。無駄にお金を遣ってでも行こうという気持ちが無いと、前向きにはなれないのかもしれない。その程度のお金が捻出できない訳ではない。なのに「そこまでしなくても良いや。」と諦めてしまう事自体、マインドが後ろ向きになっている証拠なのだろう。
毎週更新される中高年のみなさんの記事に目を通しながら、自身のつまらなさに恥じ入っているtanuoさんなのである。