なんでもかんでもお上が悪い。

「お年寄に冷たい社会」なる小見出し。女流作家先生が母親を綴ったコラムである。
暗に高齢者医療費負担を指していることは直感的に解かる。出だしの文章はいかにも作家らしい内容で、質素倹約が身に染みているその母親年代の生活ぶりを彷彿とさせている。
しかし最後の件がいかにも作家先生の思いつきやこじつけで、いにしえの日本文化の思考パターンから脱却できないこの作家先生の限界が垣間見える。
奇しくも本人自身がこう述べている。「お年寄に冷たい仕打ちをする社会は、子供たちにも冷たい社会である筈だ。」
本人の意図とは違っていると思うが、現実はその言葉通りだ。
「なんでもかんでも国が面倒を見ろ。」 たしかに民間ではできない福祉を行えるのは国もしくは地方などの公の機関しかない。しかしそれにも限界がある。収入もないのに「お年寄の医療費は全て負担しろ。」と言っているのである。そしてそれが当然と信じきって言っているだけに始末が悪い。
介護にしても医療負担にしても、いや生活を支える事からして、先ず最初は家族がする事がどこの世界でも共通の事である。負担が大き過ぎるならご近所、地域社会、と拡張して行き最終的に国が面倒を見る。と順位付けが必要である。
親の面倒を見るのが嫌、だからといってお金は無い、それじゃあ国に面倒を見て貰いましょ。…そんなバカな。
原資があれば既得権を振りかざすのも良いが、今はその原資が無い状態である。それを無理矢理国に面倒を見ろと言えばその負担をするのは若い人達である。「子供たちにも冷たい社会である筈だ。」という言葉はここに当て嵌まる。作家先生はどういう意味で使ったかは知りませんが。
くどいですが、自分の親の面倒はその子供達、孫達が見る事が全世界共通の常識です。近所で困っている人を見かけたら、出来る範囲でお手伝いをする。これが人としてのモラルです。支えきれない時の最終的なセーフティネットとなるのが国です。
なんでもかんでもお上の仕事、上手く行かないのはお上の所為。これって典型的な日本人の思考パターンですね。
先ず自分に出来る事は何か?それをするためにはどうすれば良いか?
お上に押し付けるより主体性を持って自分の役割を果たす。自分だけで出来ないところは周囲の人を巻き込んでその方法を探る。これが民主主義国家の国民ひとりひとりの為すべき事ではないですかねえ。


そしてトヨタ批判のシリーズがまだ続いています。
こんなにこき下ろされてもクレームも付けず、「いずれ解かってもらえる。」とでも思っているかのようなトヨタの姿勢。これも典型的なお人好しの日本人気質ですね。海外なら有形無形の圧力或いは訴訟で翌日にはシリーズ中止となっている筈です。民主的というのか平和呆けというのか、はたまた人間性善説に則っているのか…。
毎度毎度変わり映えのしない内容で批判していますが、そんなに嫌なら取引を止めれば良いんじゃないですか?「儲からないから止めます。」と言えば良いだけです。
他社からの受注獲得の努力もしないで、一方的に仕事を回してもらいその裏で愚痴や批判なんて、人としても恥ずかしくないですかね。
嫌ならもっと外に儲かる仕事を見つければ良いだけです。その為には経営者だけで悩むのではなく、従業員も含め全員で考えれば良いのです。「このままでは倒産しかない。」と思えば従業員も真剣に知恵を出します。それでも駄目なら廃業、解散ですがその場に立ち会った従業員は己の力不足も実感しており納得づくで転職するでしょう。
知恵を出し合って他社と違った強みで親会社との取引条件を有利なものにするか、はたまた新天地に活路を見出すか。
NHK篤姫、あの人って今で言えば倒産企業(幕府の大奥)の整理に当たったのと同じなんですね。派遣した会社(薩摩藩)の世話には一切ならずに女独りでよくもまあ成し遂げたものだと思います。それほどのエネルギーを充てるなら他にももっと多くの選択肢がある筈です。身近にこんな良い例題があるのですから、ただ愚痴を言っているだけでなく現状打破するにはどうすべきかに力を割いて貰いたいものです。
なんでもかんでも親会社が悪い。ではなく良くするためにはどうすべきか?ですね。