オンナのチカラ

今日のランチは大奮発。この先暫くランチタイムデートが出来なくなるからと、我々にはちょっと場違いな料理屋へ出かけさせられた。殆どが予約客ばかりのようで、それがまたハイ・ソサイアティな人種ばかり。一見さんは肩身が狭い。
我家に限らず主婦の発言力は強く、世の中を陰で動かしているのは本当は女性なのではないか? と疑いたくなる。


今年のNHK大河ドラマは【篤姫】である。今まで歴史の表舞台に現れる事の無かった女性が、今こうやって時代の脚光を浴びている。考えてみれば世の中の半数は女性である。子供への影響力は父親より大きいのが常である。その女性が歴史に現れてこない事の方が不思議である。
昨年のしょうも無い【勘助】よりずっと魅力的である。結局【勘助】は殆ど見なかったが【篤姫】は成績優秀である。用事で抜ける事が無い限りなるべく見るようにしている。いや、毎週心待ちにしている。


世の奥様方は個人としての影響力も強いが、最近ではそのネットワークが大きな影響力の源となっている。
我が家の場合を例にとるとそのコミュニティーの元は子供達である。幼稚園から中学まで10数年に亘ってその子供の父兄としてお付合いを続けているのである。子供達が進学などでばらばらになっても母親同士のネットワークはずっと継続しているのである。
その構成員であるお母様方の旦那は社会的な地位の高い方々も多く、当然その奥方も高学歴であり晩婚が普通である。早くして母親となった家のかみさんとは一回り(干支)近い年齢差がある。それをお互い名前を呼び捨てで呼び合っている。我々のような学歴も無い社会の底辺にいる者にも分け隔てなく接してくれる。有難いものである。
その奥様方の話を耳にする事があるが、次から次へ話題がめまぐるしく移り、その中にはチョッピリの皮肉やウィットが織り込まれ知識教養の豊かさを垣間見る事ができる。それにも増して頭の回転の速さに驚かされる。
そして旦那と一緒の時を見かけた時の様子を見てもその影響力の偉大さが実感できる。職場では高い地位にあり周りから尊敬されているご主人も奥方からみれば赤子同然なのである。上手くコントロールされ思い通りに操られているのがはっきり見てとれる。やはり世の中を本当に動かしているのは【オンナのチカラ】なのだ。


余談ですが、奥様ネットワークの情報の一例を。
かれこれ10年近くなるでだろうか、近所に大手のスーパーマーケットが出来るという情報があった。戦後の高度成長期、スーパーマーケット業界を牽引していたDグループだが、当時その凋落が顕著になっていた頃でもあった。
その建設が始まる前から奥様ネットワークの情報では「開店しても直ぐ店をたたみ、その後はスーパー銭湯になる。」というものだった。開店後奥様方も話の種に様子を見に行っていたようだが、口には出さずとも半ば公の情報として皆が知っていたのである。
そして開店から2年ほど後、情報どおり店を閉めた。暫くしてスーパー銭湯ではなく、外車ディーラーのWHグループが中古車販売の大店舗を構えた。多少の状況変化はあったものの驚くべき情報の速さ、正確さである。
市街化調整区域の開発でもあり、許可の取り易い、社会性の高いスーパーマーケットで申請しておき、上物が出来てしまってから高く転売する計画が出来ていたのかもしれない。
情報を制する者は世の中を制する。何もかも知った上で傍観者を装っている奥様方って凄い。やはり世の中を動かしているのは男供ではなく【オンナのチカラ】なのだ。


P.S.
その跡を継承したWHの店舗は【自動惑星名古屋】(実際は英語読み)という名前で結構繁盛しているようだ。
最近は若者の自動車離れが顕著で新車登録台数減少に歯止めがかからないとよく報じられている。一方で若者を中心に外車のアプルーブドカー(メーカー認定ディーラーがメーカーと同レベルで整備点検し品質を認定、保証した車)が人気だそうである。何の事は無い。車離れなぞしていないのである。車離れと言うのであれば、個性も何も無くただの道具でしかない日本車離れと言う方が正しい。個性的な若者達は自分の個性に合わせ割安でいながら品質も保証されているものを賢く選んでいるのである。その時流に乗り【自動惑星名古屋】も堅調な様子だ。そして賢い若者達は、愛着を持ってそのお気に入りの車と長く付き合っている。長く付き合っているうち本人と一体化してきたり、家族の一員のようになっていったり。
数年で廃棄されゴミを大量に排出する今の日本車と比べ、これらの車は幸せである。そしてこの姿が日本人本来の姿でもある。「勿体ない。」の精神で物を大切に扱う。それによってゴミも大幅に減量され環境負荷も軽くなる。
新しい内は高品質の日本車も、5年5万kmから指数関数的に故障が頻発し10年10万kmではもうボロボロ。暫く前の米国での調査結果では、ある程度の年月を経た後の故障率の低さは日本車より欧州車の方がずっと好成績だったそうだ。
今の【消費は美徳】という文化は米国から輸入されたものであり、それを牽引してきたのは我々中高年である。その文化も米国ビッグ3の凋落と供に破綻が顕在化している。
我々中高年も若者を見習い、物を大事にする文化を取り戻さなければならない。その為にも長く愛着を持って乗り続けられる個性的な日本車の開発を望みたい。