アサヒペンタックス

ペンタックスペンタックスペンタックス…、望遠だよ、望遠だよ、望遠だよ…、ワイドだよ。 アサヒペンタックスSP。」
これもTVコマーシャルの口上。
身近の殆どのマニアは皆これを持っていた。当時の35mm一眼レフの中で軽量かつスペックは最先端、お値段もそこそこリーズナブルなものであった。
一眼レフの特徴であるペンタプリズムから取ったネーミング。
軽量化による機動性の良さ。
TTL(Through the Lens)方式開放測光。
交換レンズをはじめ、サードパーティが供給するオプション品の豊富さ。
etc. etc.
当時私が使っていたのはトプコンREスーパー。東京光学の旗艦機だ。TTL測光はこのトプコンが初めて開発した方式で以後瞬く間に各社が採用するようになった。文字通りレンズを通った光の強さで露出を決める方式である。一眼レフの特徴であるレンズ交換により画角が変わっても、実際にフィルムを感光する光の強さで露出を決める訳だから正確無比である。
開放測光が可能になるまでは絞込み測光が普通で実際に【絞り】を絞りその光量を測定していた。当然絞込めば絞込むほどファインダー内は暗くなり被写体の視認性は悪くなる。それを常時【絞り】を開放にしておきシャッターを切った時だけ設定した絞り値となるようにしたのが開放測光である。ただ被写界深度をファインダー内で確認する為の確認ボタンもあった。これを押せば設定値通りに絞り込まれ、暗くはなるが焦点の合い具合が確認できるのである。これらの事が全てメカニカルに動作していたのである。その精緻さには今更ながら脱帽する。
このトプコンと言い、ニコンFと言い、そしてキャノンと言い皆ペンタックスと比べ重く鈍重であった。
マチュアペンタックスが多く、プロはこれら鈍重なカメラを使っていた。特に報道関係者などは全てニコンF。露出計すら備えていない、35mm一眼レフの草分けである。プロは堅牢さを最優先させていた。と言うのが実情か。
プロでもないのに私はトプコンREスーパーの後、ニコンFに替えているのである。いずれも1kgをかるく超える代物である。(F1.4 50mm標準レンズ付きで)
今のデジイチの重量とは比べものにならないくらい重い。
しかし質量が大きいほど慣性は大きい。言い換えればブレ難いのである。シャッターも徐々に押して行けば途中で力を入れなくても勝手にボタンが吸い込まれて行く構造になっておりそれがブレ難さに繫がっていた。往年の名機と比べると今のデジイチはまるっきり玩具である。欲しいとは全く思わない。デジカメなのになんで一眼に拘るのか全く理解出来ない。
因みに昨日買った中古のデジカメも言い様によっては一眼レフなのである。ペンタプリズムなぞ備えていないがファインダーはLCDモニタ。レンズを通りCCDでに映ったものをモニタ表示している。
一眼レフとはパララックス(視差)を無くす為に機械的光学的に考案された方式である。そんな方法を採らなくてもデジカメなら撮影する画像とファインダーでモニタする画像を一致させる事は至極容易な事なのである。この中古カメラで写したものはファインダーで覗いたものと全く同一なのである。ワイドから10倍のテレに亘って。
デジイチのメリットと言えばレンズ交換が可能な事くらいである。いやもう少しあった。1EV単位で絞りが可能ってのもある。マニュアルでピント調整が可能ってのもある。但しこの辺りは差別化の為、わざとコンデジ側に仕様を設けていないと言うべきだろう。でないとデジイチが売れなくなるから。


往年の名機ペンタックスの名が世の中から消え去るかもしれない。色々とすったもんだがあったが結局はHOYAに吸収されてしまった。HOYAとても不採算部門にいつまでも甘い顔をしている事はできない。利益の出る見込みがなければ切り捨てるしかない。
旭光学は一時期PC基板設計用のCADも手がけていたと思うが、止めてしまったのだろうか。
配線の為のルーティングもオングリッドからオフグリッドへ各社移行し、回路設計、ロジックシミュレータ、ルーティングと全てを統合したものが今の主流である。デジカメごときに開発が追い着かないようではPCBCADなど尚更である。やはり撤退したのだろうなあ。
デジイチなぞに拘らず、その機能を全て取り込んだコンデジ市場を開拓しておけばこんなことにはならなかっただろうに。もしそうやっていたら今頃はニコン、キャノンが憂き目に遭っていたかもしれないか。