病院にて

昨日の検診で、眼圧が高過ぎるとの事で今日も検診。今日は土曜日で【6級美人】(注1)の先生はお休み。あまり気乗りはしないが美人先生に来いと言われれば来ない訳にはいかん。なんたってtanuoさん、泣く子と美人には弱いのである。
気乗りがしなかった所為か予約時間にギリギリであった。さすがに遅刻はしなかったが。
受付を済ませ待っていると、窓口で初老のおっさんが大声でわめきちらしている。
何か手違いがあっての事らしいが、この手の人種の心理が全く解せない。対応している若い看護婦さんはひたすら謝るのみ。聞こえてくる内容からすると、受診に来たこの御仁が何か忘れ物をしたらしい。
「そんな事どこにも書いてないじゃないか。」
「ボソボソボソ。」(小声で看護婦さん)
「こんな小さい字じゃ解らん。眼が悪いから眼科に来てるんだろう。色を付けるなりして解り易くするのが当たり前だろ。」
まあその方がより親切ではあるが、どちらかと言えば屁理屈でしかない。
さんざん言いたい放題言って気が済んだのか、待合の座席へ移動した。
暫く後、先程の看護婦さんが出てきてまたあの御仁の所へ。
「確認がとれました。申し訳ありませんでした。」
「大声出したからそうしたのか? 云々、云々。」
また始まった。もううんざりである。
どうやら予約票を忘れて来たらしい。土曜日の予約はコンピュータで受け付けられないようで、私も手書きの予約票を持ってきた。コンピュータで確認できなきゃ当日予約を入れた医師かそれに立ち会った看護士に確認するしかないわなあ。
この手の御仁、世の中には結構いるんですねえ。元はと言えば自分の落ち度、そんな高飛車な言い様しなくても、「困ったなあどうしよう。」とでも言えば、だれも「今から家まで取りに帰れ。」なんて言う人はいない。それなりに親切に対応してくれる。それに対し「有難う。」と一言いえば、皆が気持ちよく済ませられるのである。
「なんでも大声さえ出せば自分の思い通りになる。」などと本気で思っているのでしょうかねえ。「一体その年まで何をしてきたの?」と聞いて見たいですね。
それに比べてあの看護婦さん、若いのに立派です。余程教育が行き届いているのでしょう。「是非家の子の嫁に。」と言いたくなっちゃいます。

暫くすると隣の診療科の待合からまた大声が聞こえてきた。
旦那らしい男性が奥方らしい女性に文句を付けている。その夫婦の子供であろう10歳くらいの女の子の前で。
「11時半以降ってどういう事だ。」なんども同じ言葉を繰り返している。奥さんは困った顔をしている。文句があるなら奥さんに言わず病院に言えば? 親の恥ずべき行為を子供はちゃんと見ているのである。子供に軽蔑されるような種を自分自身で蒔き続けているのである。
自分が今、何をしているのか解ってやっているのだろうか。いやそうじゃないだろうな。
先程の御仁といい、このお父さんといい、こんなのを見せられるとつい「自分はどうだったろう?感情に任せ自分を見失う事はなかっただろうか?」と自問してしまう。
それとも半ば私の常識となっている「病院は待たされるもの。」という事にもっと疑問を抱かなくてはならないのだろうか?それを是認してしまうものだから改善されないのだろうか。
いややはりそうではあるまい。医者の数と受診する者の数及び平均受診時間でトータルの診療時間は決まる。予約で順番が取られていては予約が無ければ後回しにされて当然である。但し窮すれば通ずる、急患で緊急を要する場合は予約をすっ飛ばしてでも診てくれる。医は仁術と言われる所以である。で、患者であろうこの女の子、ピンピンしていて至って元気である。急患じゃないならゆっくり腹を決めて待ちましょう。お父さん、お忙しいならお母さんに任せて出かければ良いんじゃありませんか。両親揃って雁首揃えて待つ事も無いでしょう。
因みに私は待たされる事が解っていれば本持参で来ます。邪魔される事も無く随分読書が進みます。
ウィークデイは平穏だった病院も土曜日はこんなイザコザがよく起こります。内情に不慣れな人が多いって事でしょうか。
にしても人前で大声はいただけません。いい年をして礼節をわきまえない人、私もあの年になるとああなっちゃうんでしょうか。ああ、やだやだ。

(注1)昔かみさんの相棒だったF君がRCCのグレードを真似て女性にもグレードを付けていました。1〜6級の美人、1〜6級のブスというように。大抵3〜4級ブスになっていましたが中には6級+もいました。街ですれ違う女性をそうやって品定めしていたようですが、聞こえても意味が解らないのでそれが余計面白いようでした。若い男の子って単純なもんです。
(実際はアラビア数字でなくローマ数字で表します。)