永源寺ダム

第二ダムの計画が白紙に戻されたそうだ。中止はほぼ決定的らしい。
今時なぜダムを建造するの?と大多数の人は考えますわなあ。必要もないのに無駄遣いするな!というのが我々庶民の正直な気持ちですが、国家の経済活性化を図ろうとしている人たちにとってはこれが唯一思いつく手だてのようです。
景気回復の為にはお金を回さなきゃならない。その為に手っ取り早い方法はというと公共工事で土建業にお金をばらまくしか無いらしいのですね。戦後の日本の常套手段です。ケインズの経済学理論で実践した米国のTVAが大成功だったものだからそれを真似ているのと、戦後の日本経済をなんとか立ち直らせようと米国が派遣した経済学者達もケインズ学派が殆どだった事から、この方法がセオリーとなってしまったようです。でもこの方法っていびつなんですね。今の日本の経済構造は戦後のそれとは全く違って来ています。ゼネコンにばらまいてもその効果は戦後間も無い頃とは違い、効き目が悪く遅くなっています。それでも他に方法がないものだからやっている訳です。
映画にもなった黒部ダム富士山測候所などは財政の効果だけでなくその成果物自体も公共の利益に大きく貢献してきました。
ところが今では水利権が余っている上、発電も殆どが火力で賄っていて全く必要性が無いのにダムを造ろうとしたり、利用する人もいないのに有料道路を造ったり。はたまた利用客もいないのに新幹線の駅を造ろうとしたり…。
箱物が好きというよりそれしかお金の回し方を知らないと言う方が正しいようです。日本人は根っからハードウェアが好きなようです。まあ付加価値というものはハードウェアと一緒にしておいた方が目に見えて解りやすいのかも知れませんねえ。


どんな山奥でも遅かれ早かれ無駄な開発のおかげでどんどん切り開かれて行くもの。と思っていたがこれでもう暫くの間は静かなままで済みそうです。御在所望湖台からでも白滝谷出合近くの工事で削られた跡が見えます。あそこから愛知川に沿って杉峠まで或いは武平峠まで道路が出来るのだろうと思っていたものの、暫くの間はそうはならないで済みそうです。
財投も必要ですが不要な開発は出来れば避けて貰いたいものです。こう思うのは年寄りの懐古主義なのかもしれませんが。