ぐえ〜気持ちが悪い。

今日のディナータイムデートは焼肉屋。かみさんが知人から聞いて一度行きたいと言っていた所だ。
注文だけしっかりしておきながら、かみさんはすぐ食べるのを止めてしまった。結局それらを片付けるのは私なのである。根っからの貧乏人根性が染み付いている私には頼んだ物を残すなんて選択肢は無い。たとえ血反吐を吐こうともお茶と一緒に飲み下すしか無いのである。
食べ始めて直ぐ、かみさんが「なにもかも塩っ辛いね。」と言っていたが、味覚センスの鈍い私にはその時はまだ感じられなかったのである。食べ進むにつれ塩っ辛さと脂っこさが苦痛となり始めたが、我慢に我慢を重ね全てを片付けたのである。う〜ムカムカ、オエッ、オエッ。
店員さん達はたどたどしい言葉遣いだったので韓国の人かもしれない。本場韓国の焼肉と銘打って営業しているのだろう。韓国ではこんなに塩味の強い味付けは無いが、日本で営業している以上日本人の味覚に合わせる為にこうしているのだろうか。にしても塩っ辛すぎるぜ。店も繁盛しており店内も混んでいるが皆さん塩っ辛くないのですかねえ。それとも通を気取って我慢しているのだろうか。


帰りの車の中で、「焼肉屋っていい商売だねえ。買ってきた肉を皿に盛り付けるだけ。焼くのは客だし。」
そういえばあのお店、殆ど下拵えしてなかったな。本当に韓国人がやっているのだろうか。全くもって疑わしい。
韓国へ行くと【本】と書いた看板をよく目にする。「韓国の人は読書家が多いのだろうか。」なぞと思う事無かれ。あれは【本当の】という意味で、全て焼肉屋さんなのである。日本で言うところの【元祖】みたいなものである。
そしてどの店も下拵えに手を抜くことはない。下拵え9割、焼き1割と言っても過言ではない。梨の汁などに何日も漬け込み下味を付けると同時に肉の繊維を分解させより柔らかくしているのである。何百年に亘る韓国の肉の食文化はたかだか百年にしかならない日本の肉の食文化とは比べものにならない。日本人には未だ本当の肉の味、肉の食い方が解っていないのではないか。と思わせるほどの調理法の豊かさである。
肉の食わせ方にしても日本の焼肉屋はなっていない。肉だけしか食わせないのは客の健康なぞ全く考えていない証拠である。
韓国では注文しなくてもチシャなどの葉野菜がたっぷりと付いてくる。キムチもおかわり自由で薬味同様タダなのだ。各テーブルの薬味も種類が豊富で切らすことはない。生ニンニクの塊すら薬味として付いてくるのである。
普通焼肉を食べる時は葉野菜の上に焼きあがった肉を乗せ、そこにお好みの薬味やキムチなどを乗せそれを包んで食べるのである。必然的に肉以上に野菜も摂る事になる。韓国料理は本来ヘルシーなのである。それが長身で男性はがっちりと、女性はスレンダーな体型の韓国人を育てているのである。
唐辛子などの辛さは塩分に頼らずしっかりとした味付けができる。東南アジアでも基本的に塩味は少ない。およそ塩味に頼っているのは日本だけである。塩分などのミネラルは全く無しでは体調を崩す。しかし多すぎると生活習慣病の元凶となるのである。


「今日は失敗だったね〜。もう二度と行かないでおこうね。」とかみさん。
結局私は実験台につきあわされただけなのである。軽くなった財布を見つめ、胸焼けと頭の痛さを耐え忍んでいるtanuoさんなのである。